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学園都市の体育祭 Verロイヤルランブル(3)

「うおおお!! どりゃあああっ!!」

 1対1とは言わず、何人でもかかってこい。

 そう宣言した王牙に、本当に相撲やプロレス系の重量級が3人ぶつかり、それを耐えきったうえで押し返し--

 自慢の体躯、パワー、スピードを駆使した伝家の宝刀、ラリアットで3人まとめて薙ぎ払った。

「--うっ、嘘だろ!? 俺達重量級を3人まとめてって」

「しかも、まるでびくともしないーーぶつかり合いには自信があったのに」

「更に早いって……化け物だ」

 倒された3人は尻餅をついたまま、目の前に立ちはだかる王牙に委縮してしまっていた。



 --一方、北郷正樹のいる地点にて。

「北郷正樹だな? いざ尋常に勝負!!」

 190はありそうな長身に、筋骨隆々--マッスルという言葉が似合いそうな男が、光と向き合う正樹の間に割り込んだ。

「尋常にはいいが、順番だ。少し待て」

「はっ、ガキが真剣勝負の場に出てくるな。初等部寮にでも帰っておままごとでもしてろ」

「なっ!」

「やれやれ……わかった、相手をしてやる。光、すまんが少し待て」

 光を制して、正樹は割り込んできた男と対峙する。

 男が嬉々として正樹に向けて正拳突きを繰り出し--


 ガシッ!!


 正樹がそれを左拳で打ち払い、その勢いで体制が崩れた男の胴に正樹に右正拳がめり込んだ。

「ぐぼっ!!?」

 拳を受けた男が、腹の空気を全部押し出されたかのような感覚を覚えながら、背中から地面に倒れこんだ。

 腹を抱え、うずくまるような体制になり、ゲホゲホと派手にせき込み始める。

「--どうした? 真剣勝負、と宣言したからには、まだ立てるだろう?」

「いっ、いや、その……」

「立て。一撃必殺と謳われたこの拳、たかが今の軽めの準備運動程度と思われるのも心外だ」

「かる……ひっ、ひいいっ!!」

 涙目になりながら、必死で四肢でもがくように逃げて行った。

「さて……すまんな、待たせた」

「……いえ。でもやはり強い……一矢くらいは報います!」

「--すまんが、一矢も許さんよ。一撃必殺と謳われるこの拳、本来は最強の矛ではなく盾なのだ」



 --その一方では

「たああああああっ!!」

 凪相手に、綾香が怒涛の連続攻撃を仕掛けていた。

「……」

 凪はその綾香の連続攻撃をよけ、防御し、受け流し……


 ガシッ!


「うわっ!?」

 時に足を払い、転ばせ……。

 パンチの腕を取り、背負い投げなどで投げられる

「ってえ……」

「連続技の一撃、キレは見事だ」

「よく言うぜ……けど流石にあらゆる武術に精通したテクニックと、冷静さや隙の無さじゃ最強の中で群を抜いてるって言われるだけある」

「冷徹鋭利が我が信条だ。お嬢さんとは相性が悪い」

「んなこと百も承知だ。けど負けると思って挑戦した覚えはねえ!」

「よかろう」



 

 --所変わって、朝霧兄妹の住居にて。

 お泊り会という名目で集まってる女性陣7名は、言葉もないと言わんばかりにしんと静まっていた。

「……やっぱり、最強って評されるほどとなると、全然違うよ」

「……うん、すごいの一言だよ」

「……あうあうあうあう」(言葉にしようとしてできてない)

『……りゅーくんにも負けず劣らず、迫力ある人たちだったね』

 ひばり、つぐみ、みなも、芹香がやっとという形で言葉を紡いだ。

「……分野は違えど、さすがに最強の名は伊達じゃないってことか」

「そうそう--でも、あんな風に堂々としていたいって思うよね」

 歌方面で最上位に位置する2人、宇佐美とアスカが、立ち位置が違えどその立ち振る舞いについて

 憧れというか、感じ入ったというかという感じの会話を交わす

「……ユウ兄ちゃんは?」

 そこで、通常の現場の場面に変わったと同時に、裕香が不満を隠しもせずそうぽつりとつぶやいた。

「そういえば……さっきからユウだけ、全然出てない」

「どういう事? ここはユウの場面を出すところなのに」



 --一方

「おっかしいなあ」

 東野辰美が、D-phoneに表示されてるナビと周囲を見比べ、首をかしげていた。

 朝霧裕樹の発信機の反応は、確かにこの辺りにあるはずなのに--当の本人が影も形も見当たらない。

「……ここで、間違いないはずなのに」

 故障かな? と思った辰美は、運営委員会に連絡を……。

「--!」

 取ろうとしたところで、周囲を見回すと囲まれていた。

 ふとその上には、いつの間にかクラゲが浮いていて、周囲に膜のような何かを伸ばしていた

「--成程、あのクラゲの能力か……この人たち、確か水鏡グループの」

 どう見ても問答無用という雰囲気で、武器を構える2、30はいる、全員が女性の一団。

 朝霧裕樹絡みで水鏡グループ……というところで、辰美は成程と頷いた

「折角、朝霧先輩と真剣勝負ができる絶好の機会だと思ったのに」

 台無しにされたことを怒りつつ、周囲から襲い掛かってくる面々を見回しながら、辰美が刀を手に取った。


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