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学園都市の体育祭 Verロイヤルランブル (プロローグ)

 学園都市に、体育祭の時期がやってきました。

 体育祭は、文科系、体育系、そして……。

「俺達武闘派の、最も過酷と言われる体育祭だが……今回は趣向を変えての実施らしい」

「? 趣向をって、どういう事おにいちゃん?」

 所は屋台通り。

 つぐみ達の屋台のアルバイトで雑用係をしながら、今度行われる武闘派系体育祭の話をしていた。 

「今年はサバイバル形式のバトルロイヤル……いや、ロイヤルランブルだそうだ」

「ロイヤルランブル?」

「通達に、生徒会査察官の判断による3段階レベルに応じて、参加時期の調整を行います、と描かれてある。このレベルの目安は……」


 1レベル、機動部隊員

 2レベル、機動部隊分隊長

 3レベル、機動部隊部隊長


「だそうだ」

「お兄ちゃんは?」

「レベル2、分隊長クラスらしい……仕事が本来は武闘派系じゃないから、評価に結び付きにくいって欠点があるからかもしれんが」

「ダンナは東城絡みで総会長に嫌われてるから、その辺りが作用してるっぽいけどね」

 話に割り込んできたのは、朝霧裕樹。

 後ろには宇佐美と裕香が、仲良さそうにお菓子を食べている。

「裕樹はどうなんだ? お前がこの目安に当てはまる訳がない以上、何かあるんだろ?」

「あるよ。俺は最初から発信機もちで出ることになってて、俺達の撃破は決して撃破として認められず、一時間の猶予ののちに復帰できる」

「……成程。このロイヤルランブルには、最強への挑戦資格が無条件に与えられるって側面があるってことか--楽しみだな」

「やっぱ気づいてたか。確かにダンナは“訓練で”俺達の相手が務まる数少ない人物だけど、実践となれば話は違う」

「ああっ……予てからお前たちとは、訓練としてじゃなくて全力でやってみたかった。今からが楽しみだ」

 と、既にやる気に逸っている龍星をよそに、裕樹は光一に歩み寄った。

「要件はわかってるな? --頼めるか?」

「ああっ、任せな」

 光一は今回、体育祭への参加は辞退することにしていた。

 最強への挑戦資格に興味はなく、形式的に不利な要素が多すぎるために--何より。

「……この情報が開示されてから、水鏡グループの人間が妙な奴らと接触してるって情報が絶えない。以前のような誘拐騒ぎもあった以上、用心したいところだが」

 保安部、生徒会SPを始めとして、所々で最強への挑戦資格に沸いている為に、学園都市そのものに今更やめるという選択肢はない。

 勿論、朝霧裕香の誘拐騒ぎは生徒総会および陽炎財閥も危惧しているため、裕香の安全には詠の一存で陽炎財閥SPが買って出ている。

「? どうしたの、光一君?」

「つぐみか--なんでもないよ」

 ただ、裕樹としては裕香のみの安全さえ保障が出来れば、問題はない。

 しかし……

「……何事もなけりゃいいがな」

 光一は妙な胸騒ぎを覚えていた。

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