甘えん坊日和(おまじない)
学園都市は、DIEシステムを実装している実験都市。
そんな学園都市でも、おまじないや占いと言った物も流行ったりする。
「おまじないブーム、ねえ」
屋台通りでは、主に女性経営の屋台でおまじないやお守りを意識した売り物が売られている。
ラッキーカラーで彩ったお菓子、手製のラッキーアイテムのおまけつきなど、所々でそういうのが見られていた。
「乗り気じゃなさそうだな」
「--別に否定まではしないさ。けど理想主義っぽいダンナと違って、俺は現実主義なんで、おまじないとか占いとか、そういう曖昧なもん信じないクチ」
「おいおい--確かに、信じられるのは己が力な稼業やってる身として、わからんでもない。だがそうギスギスするのもどうかと思うぞ」
「何かを守るって、現実でやることだ……なんて言って、お祭りに水差すのもなんだし、こういうので楽しむ位バチも当たらんか」
そういって、屋台通りを見回っていた裕樹と龍星が、光一の屋台に。
そこでは光一が、件のおまじないをD-Phoneで調べていた
「お前もかよ、光一」
「いや、朝倉がこういうのを意識したお菓子を売りたいって言うから、ちと読んでる最中--俺はあんま興味ないけどね」
「男で興味がある方が希少だと思うが……芹やつぐみが喜びそうではあるから、読む位した方がいいか。ちょっと読みたいから、アドレス教えてくれ」
「良いぜ、龍星のダンナ」
そういって光一が、龍星のD-phoneにアドレスを転送。
それを見て裕樹は肩をすくめて、つぐみたちの屋台へ。
「いらっしゃい、裕樹先輩」
踏み台を出して、ひょっこり顔を出したつぐみがメニューを取り出す。
そこにはラッキーカラーキャンペーンと銘打たれていて、色とりどりのクッキーセットが表示されている。
「--手が込んでることで」
「それで、裕樹先輩は……」
「そうだな……」
「見てみて、家庭円満のおまじない! はい、みなも姉ちゃんも」
「わあっ、ありがとう」
「--えっと、これと……これと、これくれる?」
「? ……ああっ、かしこまりました」
自分のラッキーカラーとは別に、裕香とみなもの分も買って……
「おーい裕香、みなも、クッキー食べないか?」
「あっ、ユウ兄ちゃん。ねえねえ、これ家庭円満のおまじない」
「裕樹さんも、どうですか?」
「ああっ、折角だしもらっとく」




