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未知なる地からの来訪者(2)

「あっ、ママー!」

 未来で親子となる少女2人の対面は、その一言から始まった。

「……へっ?」

「マっ……!?」

 宇佐美はあっけにとられ、裕樹はそう言って妹に抱き着いた少女の顔と言葉に、目を見開いた。

「……ごめん、ちょっと顔をよく見せてくれる!?」

「あっ、若い裕樹おじさん! アルバムで見た時より、やっぱり実物のほうが断然かっこいい!」

「……色々と気になる発言だけど、まずは後者の部分だけありがとう。それより、顔をよく見せてくれないかな?」

「うん、いいよ」

 裕樹が膝をつき、裕理と目線を合わせじっと見つめる。

 ある程度見つめると、裕樹は次に宇宙に目を向ける。

「……一体何が起こったか、どういう事なのか、説明はしてもらえるかな?」

「さすがに、あの子が何なのかはわかったか」

「そりゃ、かわいい妹絡みとなれば当たり前だ」

「--それを少しでいいから、他の女性絡みに回してほしいんだが」

「? 何か言ったか?」

「……何も」


 閑話休題


「……未来の、私の娘?」

「--確かに、顔は裕香ちゃんと瓜二つだけど」

 事情を説明されて、裕樹はそれで納得したものの……

 宇佐美と裕香は、いまだにあっけにとられたまま。

「証拠はもう提示されてるよ。開示は出来ないけどね」

「……特級重要事項に指定でもされたか?」

「ああっ、さっき生徒総会でそう可決されたーー事情は今から説明するけど、その前に特級重要事項についてから、かな」

「特級重要事項?」

「早い話が、トップシークレットってこと」

「じゃあ……」

 裕理が気まずそうに俯き、突然生じた責任に、宇佐美と裕香はがちがちになった。

「--ごめんなさい。ママに宇佐美おばさん」

「うっ、ううん。気にしなくていいよ!」

「そうそう……ただ、おばさんはやめて」

「あっ、ごめんなさい」

「……まあ心配いらないよ。緘口令って言ったって、事前にある程度の準備あれば割と大丈夫なもんだから」

 余談だが裕樹は、特級重要事項に関する依頼も何度かこなしていた。

 更に言えば、特級重要事項に関する情報は、芹香のような側近だろうと開示されることはない。

「とりあえず……裕理って呼ぶよ」

「うん、ユウおじさん」

「……とりあえず俺たちの親戚って事にするから、ここでは裕香みたいにユウ兄ちゃんって呼んでな?」

「わかった、ユウお……兄ちゃん」

「で、裕香は……」

「わかってる。ゆー姉ちゃんって呼ぶから、ゆーちゃんって呼んで」

「はーい」

 裕香に抱き着いて頬ずりしながら、ご機嫌な様子でそう返答した。

「ははっ、そういえば裕香ちゃんはまだ小さかった頃のカグツチをよく抱っこしてたっけ。子供が甘えん坊に育つのも、無理ないか」

「あっ、あははっ……」

 裕香の甘えん坊を知らない宇宙は、笑いながら裕理に懐かれてる裕香を見て、そう結論付けた。

 --その言葉に裕香は、乾いた笑いを浮かべて目をそらす。

「--裕香が35歳で12歳の子供か」

「……気持ちはわかるが、今から感慨に浸るなよ」

「心配はしてないさ……こんないい子が育つ位なんだから」

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