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屋台通りの華やかで穏やかな日常の1シーン(パート2……だよん!)

タイトルでわかると思いますが、登場人物はあの人です

 クリスティーナ・ウエストロードの仕事は、主に保安部の協力者。

 そして……。

「らっしゃーいらっしゃーい――発声練習しゅうりょーだよん♪」

 光一の屋台の売り子として、タンクトップにホットパンツにエプロンをつけ、色気と愛想を振りまいている。

 掛け声の練習をしつつ、まだ繁盛は始まっても居ないのにはっちゃけ度は屋台通りでもトップクラス。

「おねーさんバニーちゃんの用意、できてたのにねい」

「営業停止になるからダメだ」

「クリス先輩。大体ここはそういうお店じゃありませんよ」

 クリスが本気で残念そうにそう呟くと、光一が苦虫をかみつぶしたような顔で、歩美が顔をひきつらせながらツッコミを入れた。

「そんな事言わずにあゆみんも、おねーさんとはっちゃけよーよん♪」

「ひゃっ!!? ちょっ、やめっ!?」

「大体あゆみんってば小動物チックなのに、おねーさん位に立派なの持ってるアンバランスさがまた」

「おーい、マジで営業停止にされるからやめてくれ。それに店の準備も終わってないんだから、こんな所で妙な展開を起こすな!」

 とりあえず、歩美の背中から抱きついたクリスを、ある部分に伸びた手ごと引き剥がして、準備を促した。

「やれやれ……」

『グルルっ』

『きゅーん? わんっ!』

『ガルル』

 屋台を組み立てる光一達の後ろで、光一のバイク(台車付き)から荷物をせっせと降ろすのは、電子召喚獣達

光一のシラヒメは子犬で、コクテイが痩せた狼故に、どちらも力仕事向きとはお世辞にも言えないし、歩美の電子召喚獣はまだ自我の確立がされていない。

 そう言う意味では、クリスの電子召喚獣ハクコの存在はありがたかった。

「こういっちゃん、今日は何を売るのかねい?」

「ドーナツ。プレーンにチョコにストロベリーがラインナップで、後はお好みに合わせてのトッピングを用意してる。試食ならそこのタッパに入ってる奴、食べていいよ」

「そこまで手の込んでるんなら、いっそお店開いてもいいと思うよん? どこかあゆみんも一緒に住めるテナント借りて……」

「さり気無くトンデモ人生設計混ざってるけど、俺のあくまで趣味の範疇だから、本格的にはやんねえよ」

「でも力仕事の手間は省けるよん?」

「……痛いところを」

 光一の屋台はどちらかと言うと人気の部類に入る為、日に日に仕入れと準備、特に力仕事が大変になる傾向にあった為、揺らいでいた。

 気楽にやれればいいやな考えの割には、ラインナップが手の込んだ物の為に完全にその考えが反比例して置いてけぼりになっていた。

「……本気で一度考えるか」

「それじゃまずはあゆみんの……」

「今でさえギリギリなんだから、余計な事にしない様に」


「相変わらず仲良いな、この屋台は」

 そんなやりとりに割り込んできたのは、朝霧裕樹と一条宇佐美。

「今日はドーナツか。コーラの付け合わせにはいいかな?」

「おやおやユウやん、コーラ中毒は変わらないねい」

「ユウで良いだろ。呼び方変えられると調子狂う」

「ノンノン、これはおねーさんのポリシーだからねい」

「……あっそ」

 余談だが、裕樹はクリスとはそれなりに親交の深い顔見知りであり、用心棒稼業駆け出しの頃に何度か雇われていた事があった為、お互いそれなりに理解はあった。

「ゆさみんもどうかねい? おねーさんはストロベリーがお勧めだよん」

「いえ、あたしは……」

「さっきスィートポテト食ったばふっ!!?」

「やれやれ、デリカシーはまだ学習出来てないみたいだよん」

「その話って絶対耳にしますけど、やっぱり前からこうなんですか?」

「そだよんゆさみん。おねーさんもユウやん雇ってそうなった時は、よく怒ったねい」


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