学園都市のプールでのひと時(5)
「……さーて、何して遊ぼうか」
「まずは頬のビンタ跡を隠せ! --また宇佐美ちゃんにセクハラしたのか?」
「龍星のダンナ。セクハラってーーいや、宇佐美に“この水着どう?”って聞かれて」
『……また胸のこと言ったんですか?』
「いや、違う違う。今回は以前のグラビア撮影の時より少し太……」
「十分アウトだ!」
『……あのカッコいい大立ち回りが台無しですよ』
食事も終わり、いざ裕樹も交えて遊ぼうというとき……。
「あっ、あの……朝霧裕樹さんですよね?」
「ん? ああ、そうだけど?」
「えっと……すみませんが、一緒に記念撮影をお願いできませんか?」
「ああ、いいよ」
顔に大きめの絆創膏が張られた裕樹に、中等部くらいの女子数人がおずおずと声をかけた。
裕樹はさして当たり障りがない対応で、その数人と記念撮影をとり始める
「はー……流石に有名人だね」
「……まあユウさんも、黙ってりゃ男前なのは確かだからなあ」
「黙ってればは、さすがにひどいよ綾香ちゃん……否定はできないけど」
「あっ、あはは……確かに否定できないれしゅ」
「昔からユウやん程残念な完璧超人はいないって、評判だったよん」
『……それ評判じゃないですよ。でもピッタリすぎて納得できるのが怖いです』
「でも確かに、仕事自体はケチのつけようがないし、ユウがいるから安心して仕事ができるようなものだから、感謝半分軽蔑半分ってところかなあ」
その様子を見た女性陣は、各々の感想を言い合い始めた。
そして--
「あっ、ユウ兄ちゃんお姫様抱っこしてる」
裕香の一言で、空気が凍った。
「お待た……あれ? どうかした?」
「どうかしたじゃありませんよ、ユウさん。さっき何やってたんですか!?」」
「何って、記念撮影頼まれたんだけど?」
「どこの世界に記念撮影でお姫様抱っこするバカがいるんだ!?」
「え? だって、頼まれて……」
「頼まれた事も驚きだが、頼まれたからってやることじゃないだろ! 裕樹、頼むからもっと女性に関する常識を勉強しろ!」
「?」
男性陣は戻ってきた裕樹に猛講義を始めた。
--数分後。
「……なんかよくわからんが、遊ぶ前からなんか疲れた」
「裕樹、無駄だとはわかってるが、わかってくれたのむから」
「それよりユウ兄ちゃん、早く遊ぼうよ」
「ああはいはい、何して遊ぼうか」
「--裕香ちゃんのお姉ちゃんがほしいって夢、なんだかこう遠すぎて近すぎる……って言えばいいのかな?」
「その表現で合ってると思うぞ、鷹久」




