学園都市のプールでのひと時(4)
「すっげえな」
昼食時となり、VIPルームにて。
バイキング形式の料理が並べられ、水着のままで裕樹たちは思い思いの食事を行っていた。
「いやー、うめーうめー。タカ、ほれ」
「ん? あーっ……あっ」
綾香が料理に舌鼓をうち、その料理を孝久に差し出してあーんの形で食べ、周囲の視線にぎょっとしたり。
「ーーすまないな、芹。とってもらって」
『いいよそんな。りゅーくん片手使えないんだから』
左手のギプスで不自由してる龍星を、芹香が甲斐甲斐しく世話していたり。
「おいしいね……ねえひばりちゃん、これって」
「うん、この味付け参考になりそう」
「流石、高級料理は色々と勉強になりましゅ」
ひばりとつぐみとみなもは、高級料理に舌鼓を打ちながら料理人として研究したり。
「こーいっちゃーん、あーん」
「……いや、もう食えないから」
当然光一は、クリスに捕まりあーんをせがまれていたり。
そして……
「おいしいね、ユウ兄ちゃん、宇佐美姉ちゃん」
「そうだね、裕香ちゃん。これもおいしいよ、食べてみる?」
「食べる。宇佐美姉ちゃんもこれ、おいしいよ」
今回の功労者である裕樹は、妹と宇佐美といっしょに食べている。
裕香と宇佐美が常識的な量に対し、裕樹はすでに皿5つ分の料理を食べていた。
「ねえ、ユウ兄ちゃん」
「ん?」
「これ、おいしいから食べてみて」
「ああ、ありがと。裕香もこれ、食べてみる?」
「うん」
裕香とはお兄ちゃん子という共通点があり、裕樹の笑みも宇宙が兄として浮かべてくれる笑みを訪仏させる為、朝霧兄妹のこういう光景を宇佐美は好きだった。
「ーーふふっ」
「? どうかした?」
「あんな大立ち回りやらかした人が、今は妹思いのお兄ちゃんだなんて、ちょっとギャップに驚いただけ」
「……ギャップ、ねえーー俺もまだ未熟か」
その言い分には、宇佐美どころか裕香も首を傾げた。
「ーーその大立ち回りは、妹思いのお兄ちゃんとしてでやったつもりだから」
それを見て、あまり聞かれたくないーーそうとしか言いようがない、困った笑みを浮かべながら裕樹はそう告げた。
そして……
「……ふふっ」
「--え? 俺、何か変なこと言った?」
「ううん……兄さんが全幅の信頼おいてる本当の理由、今わかった気がした」
「……こっぱずかしいからやめてくれ」




