甘えん坊日和(ほのぼの甘々)
「んにゃ~……むにゃむにゃ」
「ふふっ」
猫のように丸まって、裕香はみなもに膝枕してもらい寝ていた。
甘える表情はとろけていて、普段の裕香しか知らなければ十中八九驚かれること請け合い
と、みなもはのんびりと考えていた。
「まったく、裕香はいつにまして」
「いいじゃないですか。こんな気持ちよさそうに寝てるなら、悪くありませんよ」
そのみなもの言葉に、裕樹はほっとしたような軽い笑みを浮かべて、裕香が寝てるほうの反対側のみなもの隣に腰かける。
目の前のテーブルにみなものココアを置いて、こういう時限定ではあるが裕樹も一緒にココアを飲む。
「んにゅ~」
「……かわいいなあ」
寝返りを打った裕香を、みなもが優しく髪を撫でてやり、心地よさそうにむにゃむにゃと口元を動かす
その様子を見て、裕樹は安心するように軽く笑みを浮かべる。
「……みなも」
「? はい」
みなもの声にこたえることなく、裕樹はそっとみなもの肩を抱いて、みなもが自身に体を預けるような体制にさせる。
「……裕樹さん?」
「……なんとなく、こうしたくなった」
みなもは驚くことなく、そのまま裕樹に身を預ける。
空いた手で、裕樹は英文本を開いて、そのままの時間が過ぎていく。。
「裕樹さん」
「ん?」
みなもも先の裕樹に倣うように、声をかけてから答えることなく、裕樹の体に手を回して抱き着く体制になった。
「……なんとなく、こうしたくなりました」
みなもがそっと笑みを浮かべてそう言うと、裕樹は肩に回していた手でみなもの頭を撫でる。
「みなもの髪、手触りいいな」
「……裕樹さんに頭撫でてもらうの、心地いいですね」
「裕香が良くみなもの髪を結びたがるの、わかる気がする」
「裕香ちゃんが裕樹さんに頭撫でてもらうのが好きなの、わかります。それに……」
裕樹の体に回した腕に力を込めて、ぎゅっと抱き着く力を強める。
「裕香ちゃんがよく裕樹さんに抱っこをせがむのも……裕樹さん、抱っこしてください」
裕樹が本を置いて、そっとみなもの肩に手を回した。
「にゅ~……」
「こんな時に何ですけど……裕香ちゃん、心地よさそうですね」
「心地いい、だろ」
「やってあげましょうか?」
「……頼むわ、今度」




