甘えん坊日和(夏の一日)
「あぢゅい~……」
「裕香ちゃん、家の中だからってだらけすぎだよ。それと、なんて格好してるの?」
「……だって暑いんだもん。それに家の中なんだし、別にいいでしょ」
「良くないよ。それに暑いなら、裕樹さんにくっつくのやめようね」
朝霧兄妹の自宅にもかかわらず、もうすっかり馴染んだ普段着にエプロン姿のみなも。
その目の前では、汗びっしょりになりながら片腕立て伏せをする裕樹と、その背中にタオルを挟んで、下着姿でへたっている裕香の姿。
今クーラーが壊れているため、窓を全開にして空気の入れ替えを行っている真っ最中であり、みなもも若干汗ばんでいるため、気持ちは理解はできた。
「だってただへたってる時より、動きがあるほうが涼しいもん」
「--999、1000……ふーっ」
「右腕しゅーりょー。次はスクワットだね」
「裕香ちゃん」
「……はーい」
裕樹が片腕立て伏せを終わらせると、裕香が渋々といった感じで自分の部屋に歩を進める。
「裕樹さん、裕香ちゃんは……ごめんなさい、何でもないです」
「……なんか今ものすごいバカにされたような気がするんだが」
「いえ、裕樹さんは何も気にしなくていいです。裕香ちゃんには私がしっかり女の子らしさを教えてあげますから」
「……よくわからんが、頼む」
釈然としないという感じで、裕樹は汗を拭いた。
「おまたせー」
そうこうしてる間に、裕香が服を着てきた
「下着はさすがに汗でべたべただったから、着替えてきた」
「……裕香ちゃん、いくらお兄さんだからって、女の子が男の人の前でそういうことを堂々と言っちゃダメ」
その間に裕樹は、日課のトレーニングを早々と、しかし手抜きは一切せずに終わらせた。
そのあとはみなもにシャワーを浴びるように言われ、その間にみなもは裕香と一緒にお茶の用意。
ただ、お茶といっても麦茶とかき氷。
「……かき氷がうまい」
「本当ですね」
「ねえ、クーラー早く直したいよ」
「今施設の設備メンテで出払ってるから、夕方にならないと無理だって」
「その間入れ違いになっちゃいけないから、外出もできませんね」
「……ぶーっ」
不貞腐れたように裕香は、もくもくとかき氷にかかりっきりとなった。
「……今年の夏、どうする?」
「そうですね……また、遊覧船に乗りたいですね」
「私はプール行きたいな。それに、今度やる屋台通りの流しそうめんも」
「どうせだから、山岳エリアのハイキングコースの河原で、バーベキューってのも」」
「それはいいですね。そうだ、確か遊覧船って宿泊もできるそうだから、3人でお泊りっていうのも」
「うん、行きたい行きたい。それで、ユウ兄ちゃんをみなも姉ちゃんと挟んで寝たい」
それから話は盛り上がり、時分は夕方。
「……やっと直ったね」
クーラーの修理が終わり、リビングにて裕香は涼んでいた。
……みなもの膝枕で。
「直ったとたんに甘えんぼさんだね」
「うにゃ~♪」




