学園都市のクーデター(6)
「はぐっ、がつっ、ばりばりっ!」
『……』
場所は、先ほどまで押し込められていた牢獄……ではなく
看守達の詰め所らしき場所で、備え付けられていた冷蔵庫のものを食べている最中。
……と言っても、食べてるのはほとんどが太助で
「……食べないの?」
『……いえ、食べてますよ?』
まともな食事ができていた環境だったとは、到底思えなかったことはわかる。
しかし芹香の目には、明らかに光一寄りのインドア系の貧弱体系な彼の食べてる量が異常……龍星が食べる量の倍以上であることは明白だった。
……思い浮かぶのは、金属製の拘束具を引きちぎり、重厚なドアをはがした後の彼の影の変貌。
「……ふーっ」
備え付けてあった食料を殆ど食べつくし、落ち着いたのか水を一口。
……そこで芹香は、思い切って助けに話しかける。
『……先ほど、東城さんはなにをしたんですか?』
「僕はD-Phoneなしで、DIEシステムを使うことができる」
『ーー!』
学園都市の住人にとっては、信じられない内容……しかし、納得は出来た。
先ほどの光景は、どう考えたところで人の所業では説明ができない。
「さて……そろそろ行こうか」
そこで強引に話を切られ、太助は立ち上がってその場を後に。
芹香が慌てて太助の後ろを追いかけ、出口に到着。
『待ってください。話はまだ……」
「今榊さんには、君を送り届けるまで限定で、九十九を差し向けてある」
『!?』
「入口までは付き添うし、移動用の足も用意する……急いだほうがいい」
太助が芹香の疑問に答えるつもりもなければ、時間もないことが重々伝わってきた。
そこでこくりとうなずくと、芹香は……
『だったら、一つだけ』
「?」
『……貴方が進めていた、DIEシステムの医療運用のおかげで、私はこうして流暢に話せるようになりました。ありがとうございます」
そういって、太助に向けて頭を下げた。
「……会話は楽しいかい?」
『……はい』
「だったらよかった」
「よおっ、せんせー。無事……ん? 芹ちゃんも一緒だったかい」
そこへ、今や太助の仲間である鮫島剛がやってきた。
--今クーデターの主犯である、生徒会員の男子生徒を縛って引きずりながら。
「ちょうどよかった。剛、彼女を入口まで連れてってあげてから、これを起動させてくれない?」
「ん、りょーかい」
「じゃあこれまで。敵のみでいうのもなんだけど、一条君にはよろしくね」
『……はい』
そこで太助は芹香たちと別れ、一路奥へ。
「……ありがとうございます、か……さて」




