学園都市のクーデター(5)
今回は個人としては、きつめの暴力描写を書いてますので
それをご了承のうえで、読んでください。
「ヌオオオ!!」
龍星が咆哮しながら、九十九めがけて拳を振るう。
鉄筋すら捻じ曲げる威力の拳を振るわれながら、九十九は表情一つ変えずひょいひょいとよけ……
「……」
龍星が突き出した拳の手首に狙い定め、掌を突き出し掴む。
その寸前に龍星は、拳を力任せにひいて九十九の手から逃れる。
九十九は、その所業があまりにも危険すぎたため、手配犯になった経緯の開示が生徒会により禁止された逸話を持つ。
ただ、実力的には保安部や生徒会SPの隊長格ですら、単体で当たるのが危険であると評される正真正銘の実力者。
その彼の得意なスタイルは、見るものを恐怖のどん底に、受けたものに癒える事なき痛みを刻み付ける残虐戦法。
その中核が……。
ガシッ!
「ッ!?」
龍星の左拳がついに捕まり、龍星は即座に掴まれた手首を力任せに振りほどこうとする。
その振りほどいたその時に掌を開いてしまい、その手が九十九に掴まれ……
ボキッ!!
「グガアッ!?」
鈍い音が鳴り、龍星の左の手の指が本来ならありえない方向に捻じ曲げられた。
椎名九十九の残虐戦法の真髄は、一握粉砕と評された強靭な握力。
「--壊れろ」
九十九が龍星の首めがけて左手首を突き出し、ぎりっと握りしめる。
龍星の巨体が浮き上がり、龍星の左手指をへし折った右手の掌底で龍星の腹を突き上げて付近の壁にたたきつけ、そのまま龍星の首を壁に押さえつけるように握り締め、腹に貫手を繰り出した。
「ーーチョウシニノルナ!!
龍星が逆さで首を抑えられたまま、九十九を指を折られた腕で薙ぎ払う。
さしもの九十九もそれには耐えきれるわけもなく、フっ飛ばされた。
崩れ落ちるように龍星は地面に転がり、捻じ曲げられた指をもとの形に戻す。
「……セリ!」
「何を終わったつもりになっている?」
顔面を打ち付け、こすったのか九十九は顔面を血だらけにして起き上がる。
「ドケ! オレハセリヲタスケニイクンダ!!」
「救済、愛情、人道、善性……北郷と同じか。くだらん、見捨てろ。確か、“カンケーナイ”、“メーワク”だったか? そんな呪文を唱えるだけのおまじないで、簡単に無意味にできる程度の……」
「ヨシ、ソノアタマニニンゲントイウモノヲタタキコンデクレル!!」




