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学園都市のクーデター

今回は暴力描写があるので、それをご了承の上でお読みください

 学園都市生徒会

 学園都市内部運営に携わるこの組織は、初等部からの早期育成制度を設けており、そこから中等部と経験を積み重ねていき、高等部となると同時に行われる試験を経て、その成績に見合った責任を伴う地位につけられる

 そしてその後、各々の思想に準じた派閥に属し、その中で選別された代表者数名が、学園都市学生運営法案に携わる議会に参加する事が許される。

 議会では様々な案件が議題とされ、半数以上の支持を得た議案が、最終的な決定権を持つ生徒会最高権力である生徒総会に提示され、こちらは総会5人の満場一致が原則となり、それをもって正式に可決される事となる。

 そのシステム上、議会で大多数の支持を得た議案といえど、総会のたった1人の意向で即却下となったり、意向が強く反映された変更が成されたりという事も、決して珍しいことではない。

 ただ、現総会においては却下という事はなく、穏健派思想の一条宇宙総書記と、強硬派思想の大神白夜総副会長のどちらの意向が強く反映したものとなるかの、両雄の衝突が学園都市内政を大きく左右している。

 生徒会や学園都市全体においても、総書記は人柄から、総副会長はカリスマ性から支持者が多い為、その意向が強く取り入れられた法案には多くの賛同が集まる。


「両雄の衝突だと!? ふざけるな、議会はあの2人の独裁競合の礎になるためにあるのではない!!」

 

 ただし、支持者が多いというだけで、決して反発する者がいないわけではない

 この2名の意向だけが強く働く現状に不満をもつ者も、少なからず存在しており……現在学園都市は、それら反発勢力による武力クーデターが勃発。

 反発勢力に同調するかのように、あちこちで犯罪も多発するようになり、学園都市は混乱のさなかにあった。

「ふぅっ……」

 勿論、屋台通りも例外ではなく……

 人通りが途絶え、商売上がったりの現状では、屋台通りは専ら騒動の鎮圧に駆け回る、保安部や生徒会SP達の休憩スペース兼野戦病院として機能。

 そして、光一や龍星も騒動の鎮圧に駆け回っており、負傷も多少目立った格好になっている。

「……埒があかんな」

「同感だよダンナ……生徒会のほうはどうなってる?」

「セリの話じゃ、生徒総会の権力軽減と議会の発言力向上を主張する反発勢力は、強硬姿勢を崩す様子は見られないらしい」

「そうか……しかし、なんで今なんだ?」

 光一はずっと疑問に思っていた。

 両名の意向が取り入れられた法案に、学園都市では不満が出た事がない。

 そんな現状最善の形に対するクーデターは、決して学園都市では良心的に捉えられてはいない。

「何かがひっかかってる……という感じだな、光一?」

「ああっ……あいつら、何か決定打になるものを手に入れてるか、あるいは……ん?」

「おっ、ヒーロー様のご帰還だ」

 混乱に対する不満緩和措置として、学園都市報道部門は朝霧裕樹をはじめとする武闘派最強の4人の活躍をピックアップしていた。

 こういう時勢となれば、ヒーローの活躍が最も望まれる報道となるために。

「おっ、お疲れ……様。ユウ兄ちゃん」

「ああっ、ただいま裕香。何もなかったか?」

「うっ、うん……」

「……おい! お前らこぞって撮影すんじゃねえ!!」

 光一たちの視線の先では、裕樹を妹の裕香が出迎えるシーンを、報道陣がこぞってカメラに収めようとして、雰囲気的に台無しにされた事を怒る裕樹の姿があった。

「……ちと、洗ってみる必要があるかな」

「ああそうだ光一、少し気になる事があるんだが」

「気になる?」

「最近忙しさを差し引いても、東城の動きが全然掴めなくなった」

「……何だって?」





 ーー所変わって。

「おい、おきろ!!」

「うっ……」

 学園都市の某所の地下にある、牢獄としか表現できない室内にて。

 上半身をひん剝かれ、両腕を鎖付の錠で繋がれた格好。

 露になっている上半身どころか、顔の所々に青痣が目立つ様相にされた男ーー東城太助の姿があった。

「ーーああっ、おはよう。朝食と新聞の用意、してくれたかな?」


 ドボッ!!


「ごふっ!!」

 そんな自分の様相を意にも介さない軽快な口調に、監守が怒り太助の腹を蹴り上げた。

「何客人気分でいやがんだ!」

「げほげほっ! ぐっ、おえぐっ……! ……はあっ、はぁっ……」

「ほら、飯なら用意出来てんぜ」

 そう言って、まだ沸騰してるスープをたっぷり注いだ丼を太助の前に置いてーー

「ぐっ!!?」

「ほーら、たんまり食えや!」

 太助の頭を踏みつけ、そのスープの入った丼に顔を突っ込ませた。

 太助は食べるどころではなく、暴れに暴れてスープのどんぶりをこぼしながらのた打ち回る。

「ぶはっ! ……ぐっ、ああぁっ……」

「食いもん粗末にしてんじゃねえよ!」

「があっ!!?」

 監守がのた打ち回る太助の頭をつかみ、こぼしたスープの上にたたきつけ、踏みつける

「……いい加減白状しろや、お前の研究データを保管してるデータベースの在り処」

「--君の主人には、今あるものだけで十分だって言った筈だけどね」

「いーやダメだ。俺たちの頭が総会から政権を奪取した暁には、磐石の治安を築き上げるとのことだ。それには、お前が隠してる強大な力が必要なんだよ」

「……悪ふざけも大概にしなよ。人が立てるのは地だけで、天になんて立てない。そんな事もわからないような奴が、どの口で治安なんがふっ!」

「テメエこそ何様のつもりだ? ーー同じ穴の狢だっつーのに、お説教出来る立場だとでも?」

「そりゃ僕のほうがまだ上等だと断言できるからね」

「--よーし、テメエの断末魔を、鎮静のメロディにさせてもらうぜ!」


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