甘えん坊日和(膝枕)
「どっ、どう……れしゅか?」
「……膝枕は初めての経験だから、なんか新鮮で心地よくはあるけど、なんか落ち着かない」
現在裕樹は、みなもに膝枕をしてもらっていた。
どぎまぎしてるみなもに対して、裕樹は表情こそ平然としてるが、雰囲気は落ち着きがない。
「ーーやっぱやめようか?」
「しょういう訳にはいきましぇん。たまには裕樹しゃんも、こういう時間をれしゅね」
「無理してまでやる事じゃないだろ。結構ド迫力な胸が邪魔してよく見えないけど、顔絶対真っ赤だろうに」
「……さらりとセクハラ発言しないでください」
「うん。膝枕してもらってると、みなも姉ちゃんの胸って結構……」
「裕香ちゃん、そういう事言っちゃダメって何度も言ったよね?」
朝霧兄妹の発言で空気壊れた所為か、みなもの表情も硬さが取れた。
「なんでわかんないかな? みなも姉ちゃんの膝枕、寝心地が良いのに。いいにおいがしてあったかいし、それに……」
「……裕香ちゃん、ある意味恥ずかしいから力説しないでね?」
いつものように、裕樹に覆いかぶさるかのように抱きついて寝転がってる裕香が、落ち着かない雰囲気の裕樹に怒りながら抗議する。
もっとも、内容が内容のためにみなもも裕香の力説には、恥ずかしさがこみ上げてきていた
「けど慣れなくて落ち着かない事除けば、寝心地いいし裕香がせがむのもわかる気がする」
「そうですか?」
「……けど、やっぱ慣れないから落ち着かない。ごめんけどここまで」
「……残念れしゅ」
「……そんな捨て犬みたいな目をしなくても」
裕香の体重をものともせず起き上がり、馴染めなかった裕樹にみなもはしょんぼりとし、裕樹もさすがに顔を引きつらせた。
「もうっ、ユウ兄ちゃんは」
「慣れてないんだから仕方ないだろ。そもそも(家内限定で)年がら年中甘えっぱなしの裕香と一緒にするな」
「ちょっ、ふっ、2人とも……」
「……とは言え、確かにこういう時間に馴染めんのは問題か」
「……気には、してたんれしゅね」
意外と気にしてた事に驚きつつ、みなもは自分の方に移り頬を膨らませる裕香をなだめる。
その途端に裕香も機嫌を直し、みなもの胸に顔をこすりつけ始めた。
「じゃあいいもん。みなも姉ちゃんには、ユウ兄ちゃんの分も存分に甘えるよ」
「いや、俺はもう甘えるなんて年じゃない……それよりこれからもって、裕香お前年いくつだと思ってんだ?」
「子供のうちはいいの」
「--オバサンどころか、バーさんになっても甘えてるに違いない子が何言ってんだか」
「それはひどいよ!」
「大丈夫だよ、裕香ちゃん」
そういうとみなもは裕香を降ろして、軽く深呼吸。
疑問符を浮かべ、裕樹と裕香は顔を見合わせると同時に、みなもが裕樹に抱きついた。
「ーーいっいっちょに、あみゃいぇんびょうににゃっちぇあきぇるきゃら」
「言葉になってねえって」
「でも何て言ってるのかはよくわかるね」
「まったくもってーーさりげなくかつ自然に俺に抱きついてる裕香も大概だけど」
苦笑しながら裕樹は、すでに両サイドに移動してる2人の肩に手を回し、そのまま2人の頭をなでてやる。
「えへへ~♪ ユウ兄ちゃん大好き~♪」
「ゆーきしゃんらいしゅきれしゅ~」
「--俺も大好き。だからみなも、また膝枕してくれる?」
「ひゃっ、ひゃい。いきゅりゃぢぇも!」
「やっぱり、甘えるより甘えられる側だな。俺って」




