学園都市の雪まつり
学園都市のイベントは、よほどの事がない限りは予定変更される事はない
たとえそれが、天候に左右される様なイベントだろうと
「そもそも学園都市のイベント自体、DIEシステム試験運用の側面を持っていて――とまあ、小難しい話は抜きにするか」
「研究者としては、説明するのはある種の楽しみってところ?」
「まあそんな所」
学園都市雪まつり。
一般参加――それこそ、初等部の雪だるまでも作品とみなされるイベントは、大賑わいだった。
「ふぅっ」
各学校の校庭を使って、各所グループで雪を使っての作品創作。
なお、雪が積もっているのは学校の公邸内限定であり、歩道や道路には一切積もってはいない。
「――ホント、いつ見たり触ったりしても信じられない。これがDIEシステムで具現した、雪のプログラムデータだなんて」
「それを物質として具現するシステムなんだ。まああくまで“本物に限りなく近い”がつくから、何かしらの違和感は感じる物だけど」
「そうだね。冷たいとは感じても、やっぱりなんかちょっと違う感じがする」
場所は裕香の所属学校。
つぐみとみなも、ひばりに龍星、宇佐美とで朝霧兄妹と一緒に参加していた。
光一もこの場に居るにはいるが、今回はDIE研究員として設備運用技師の1人として出向いている。
龍星とつぐみ、裕樹と裕香とひばりとで、雪を転がし大きくしているその傍らで、飾り付け担当として待機してるみなもと宇佐美と話しながら、光一は雪をすくい上げては握ったり崩したりしたりして、メモを取る。
「――で、何してるの?」
「調査」
「色々とやってましゅね」
「好きでやってるから良いの」
「――久遠君、ちょっと!」
「あっ、はい! じゃあまた後で」
そう言って光一は去っていき、手持ち向沙汰になったみなもと宇佐美は――
「ちっちゃくないよ!」
「ちっちゃくない!」
ひばりとつぐみを怒らせたのか、お決まりのセリフを言われて詰め寄られてる裕樹の姿--
「よっこらしょ!」
を無視して、龍星の手で裕香達が転がした雪が、龍星達が転がした雪の玉に乗せられたのを見て、駆け寄った。
「まだまだ、下がってな」
逃げるような形でそれに続く様に、裕樹が電子ツールである刀を具現し、一閃。
パチンと鞘に刀が収められると、雪玉は綺麗な球体に仕上げられた。
「――お見事」
「いやー、こういう役回り一度やってみたくてさ――と言う訳で、みなもに宇佐美、裕香と一緒に頼む」
「はい」
「任せて!」




