甘えん坊日和(姉妹の一時 内外)
「みなも姉ちゃん」
屋台通りの一角、みなものサークルが経営する屋台の前。
学校帰りの裕香が、訪ねてきた。
「あっ、いらっしゃい裕香ちゃん」
「遊びに来たよ、お姉ちゃん♪」
「お姉ちゃん、だって。よっぽど嬉しいんだね」
「いや全く。お姉ちゃんが欲しいって念願、まさかかなうなんて……いや、相手が相手だから驚けなかったな」
「あの朝霧さんだからね。でもみなもさんだったら、おかしくないでしょ?」
「違いない。裕香ちゃんも、涼宮さんには懐いてたみたいだし、なるべくしてなったってところじゃないか?」
裕香がお姉ちゃんを欲しがってたのは、屋台通りで知らない人は1人として居ない。
だから、裕樹とみなもが付き合い始めた時には、屋台通りでは差して驚くような話題ですらなかった。
「今日は何にする? お金は良いから、好きなの頼んでも……」
「良いよそんな。お菓子買うお金位、ユウ兄ちゃんに貰ってるから」
「遠慮しなくても良いよ? お姉ちゃんらしい事の1つ位は……」
「お姉ちゃんらしい事だったら、ご飯一緒に食べたいな」
「ふふっ――じゃあ今日は、帰りに家に行くからね?」
「やった♪ ――じゃあこれ頂戴」
「はーい」
本日の売り物、マフィンを手に今度は光一の屋台の方へ、裕香は駆けて行った。
「ちゃんと仲良し姉妹になれてるね」
「つぐみちゃん」
「みなもちゃんは元々、裕香ちゃんとは仲良しだったからもあるけど、裕香ちゃんに良い子だから手間もそんなかからなくて、物足りなくないかな?」
「物足りないなんて、そんな事無いよ――つぐみちゃんは、知らないんだよね」
「? 何が?」
「――ううん、なんでもないよ?」
――数時間後。
「えへへ~、ぎゅ~♪」
「裕香ちゃん、ご飯作れないからちょっと離れて?」
「や~♪」
「ねえ、良い子だからちょっと待って?」
「待たないし待てない♪」
「――こうなると言う事全然聞いてくれないなんて、誰も予想しない所か、出来ないよねじぇったいに」




