学園都市のバレンタイン(2016年版)
『リア充爆発しろ!!』
「撃て、カグツチ」
『グルルっ!』
どっかーーんッ!
『ギャアアアアアアアアッ!!』
「カグツチは通常規格だから、攻撃はスタン兵器の範疇なのでケガも死にもしません」
『だからって撃つな!!』
「爆発とか言うからさせてやったんだろ――ささ、保安部には黙っててやるから、帰った帰った」
本日バレンタインデー
学園都市の各所は色めきだち、または閑散とし、または……。
「保安部です! 無駄な抵抗はやめて、大人しく投降しなさい!」
「くっそ、生徒会の犬どもが!!」
「バレンタインなんてクソ喰らえだー!!」
保安部とモテない男の仁義なき戦いが繰り広げられている。
「――最も、ここ屋台通りは殆ど例外的に平和そのものだけどね」
「裕樹さん、誰に言ってりゅんれしゅ?」
屋台通りでは、お菓子メインの屋台を運営する女子たちによる義理チョコが、事前に配られている為、騒ぎは起こってはいない。
と言うかむしろ、友好的な付き合いが多い為、バレンタインを機に付き合い始めたり、屋台の共同経営をしたりなど、プラスに作用している事が多い。
――更に余談だが、光一は本日屋台お休み(と言うか捕まっててこれない)
「しかし――貰えんで泣き喚く男がいるってのに、友チョコなんてもんがあるとはねえ」
「ユウは例外じゃない。奇跡的にだけど」
「そう言う宇佐美は何か太ぶぐっ!!?」
「――明日から運動量増やすから、つきあってね?」
「むぐむぐごくんっ! ……まあ宇佐美の運動位幾らでも付き合うけど、味見で食べ過ぎあちちちちっ!!?」
裕樹は宇佐美を始めとして、歩美につぐみ、それから仕事上で知り合った女生徒から貰ってる(ほぼ全部義理)
「裕樹さん、もっと考えて発言してください。女の子にそう言う発言は禁句だって、何度も言ってるのに!」
「――へいへい。わかってるけど」
「まあまあひばりちゃん。宇佐美ちゃんも、せっきゃくのヴァレンタインなんれしゅから」
「――そうですね」
「うん」
怒るひばりに宇佐美をみなもが宥め、苦笑しながら――
「はい、裕樹さん。チョコレートれしゅ」
「――いつも守ってくれて、仕事手伝ってくれてありがとう。お礼の気持ち、受け取って」
「あたし達の気持、受け取ってください」
「――ああっ、ありがとう」
「ユウ兄ちゃん!」
みなも、宇佐美、ひばりからチョコレートを受け取ると、裕香の声が。
「丁度よかった。みなも姉ちゃんにひばり姉ちゃん、宇佐美姉ちゃんはい! 友チョコのチョコクッキーだよ」
屋台通りは今日も和やかだった。
「あれ? 光一兄ちゃんに龍星兄ちゃんは?」
「光一はつかま……月の所。龍星のダンナは、生徒会議事堂ビルに芹香に会いに行ってる」
「なんだあ、2人にも用意してきたのに」
「……もしかして、そのでかでかと義理なんて書いてるのか?」
「そうだけど? それより、ユウ兄ちゃんの」
「--2人がいなくてよかったと思うの、なんでだろ?




