学園都市最悪の会合
『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアっ!!!』
断末魔が響いた。
そして、少しして――
「――あーっ……何度やっても気持ち悪い」
口元をぬぐいながら、断末魔の響いた部屋から1人の男――東城太助が出てくる。
その後ろでは、白眼を向いてよだれを垂らし、痙攣をしながら1人の男……賄賂の額で監査結果を決め、汚職冤罪にも手をかけた悪徳執行部員が倒れている。
「――悲鳴、懺悔、断末魔……どれも耳触りで、毟り取ってしまいたくなる位に不快だ」
「不快と言うのは、同意はしてやる」
「……そろそろ出くわす頃だと思ってたよ。大神総副会長殿」
「私とお前の間に、敬称などいらん――そうだろう? 東城太助、私と同じ天賦の才を持って生まれた者よ」
「僕は自分を天才だなんて思ってないし、そうだとしても認める気はない……だから同じだなんて、死んだって言われたくないよ――君にだけは、絶対にね」
太助は振り向かずに、後ろからの声に応えた。
生徒総会総副会長、大神白夜――東城太助が、最も忌み嫌う人物。
「――相変わらず“私だけは”お気に召さん様だな?」
「君にわかった様な口を聞かれたくないけど、そうだよ……僕は君が気に入らない、損得や感情抜きで、ただ純粋に気に入らない……いや、君と言う存在そのものが、不快以外の何物でもない」
太助の普段の表情――覇気のない飄々とした顔と、柔らかな笑みを浮かべた顔しか知らない人間がみれば、驚く事は間違いない形相。
しかし白夜には、こちらの方が馴染みがある表情なのか、特に気にもかけていない。
「--構わん。同じ天賦を持とうと、悪である私が善であるお前が嫌悪する事は、むしろ当たり前だ」
「僕は善じゃない」
「--危険度の高いメンバーを集め、本来は正しくとも許されん手段に手を染めた……根本が善の程度で、悪になったつもりか?」
「答える義理はないよ」
「--何に触れたかもか?」
「--!!? ああっ、君に教える事はないよ……なにもね」
「――ならば仕方がないな……コンジキ」
『これに』
学園都市で唯一“通常進化で”言語能力を手に入れ、尚且つ戦闘能力も裕樹のカグツチにも引けを取らない九尾の狐。
白夜の電子召喚獣、コンジキ。
「――おいで、僕の可愛い四凶達」
「出し惜しみはないか?」
「したくても出来ないよ――君じゃ尚更ね」




