表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
164/402

甘えん坊日和(事件その3)

「――わあっ」

 所は、詠の新作の展示場。

 みなもの友人は仕事の時間だから言って帰ってしまい、みなもは学園都市の主席の作品に、目を奪われていた。

「スケッチもいいけど、こういうクラシック系の絵画も良いなあ」

「みなもって、風景画専門だっけ?」

「はい。自然のあるがままの風景とか、街中の活気にあふれた光景とかを描くの、好きなんです」

『――でしょうね。さっきの絵を見れば、良くわかる』

 この美術館に飾られてるみなもの絵は、実は裕香がモデル。

 それも、裕樹のカグツチに身を預けて眠ってる所を、写真にとってスケッチした物。

「裕香ちゃんのおかげで、良い絵が描けたよ」

「みなも姉ちゃんの役に立てて、嬉しいな♪」


『――上手く行ってるようでなにより』

「しかし、良かったのか? まだ開会式もやってないのに」

『良いって言ったでしょ? 裕香ちゃんは妾にとっても妹みたいなもので――』

「身体的には、もうすぐ追い抜かれ――!!?」

『黙れ――その子自体は気に入らないけど、その姉になるっていうなら』

「……怖いれしゅ」

 裕樹の足を踏みながら、みなもの胸元に向ける詠の眼は、射殺すかのように鋭い為みなもは委縮していた。

「あーいってえ」

「裕樹さんはもっと……いえ、少しでも良いから、自分の言葉に気を付けてくだ……」


 ピーっ!


 みなもの声を遮る様に、警告音が鳴った。

 後ろを見れば、警備ロボット“ハウンド”が駆動音を鳴らしながら、一時停止。

学園都市ではすでに、ロボットによる警備システムが採用されている。

 4輪駆動タイプモデルに、警備と区画案内を両立出来るカメラアイを搭載し、発射式スタンガンと捕縛用ワイヤー、そして火災対応用の消火剤を搭載し、配備モデルとのネットワークによる即時連携もこなせるなど、多目的に対応できる。

「へえっ、流石に第一美術館だけあって、最新モデルか」

「わかるんれしゅか?」

「そりゃあ身辺警護が生業だから、こういう分野の勉強はしてあるよ――しかし」

 裕樹は周囲を見回し、表情を険しい物に変えた。

「どうしたんれしゅか?」

「――変だな。このモデルにしては、視界に入る数が多すぎる……!?」

 咄嗟に裕樹がD-Phoneを起動し、電子ツールを展開。

 打刀を具現し――


 ガキンッ!


「ひゃっ!!?」

 突如裕樹に向けて撃ち出された発射式スタンガンを、抜刀術で打ち払った。

「ユウ兄ちゃん!?」

「裕香、詠、こっちへ!」

 裕香と詠を呼び寄せ、裕樹は周囲を見回す。

 周囲の警備ロボットの発射式スタンガンの発射口は、全て裕樹に照準が向けられている。

「――間違いなくクラッキングされてるな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ