四神と四凶の会合(2)
「場を盛り上げるならティナが居るし、守るなら正輝が居る……僕はね、手を差し伸べる存在になりたいんだよ」
「まさか、フラウと2人がかりで苦戦するなんて」
「東城先生も、ええ仕事してるなあ。武瑠から聞いた四凶の完成度が、まさかここまでのもんやなんて思わへんかったわ」
東城太助に、同士が居るという情報。
それを得たクリスは、従妹である金髪ショートに碧眼の小柄な少女、独特の関西訛りで喋るフラウディア・ウエストロードに協力を頼み、2人で太助の行方を追っていた。
その最中……。
「――太助先生に何かする気なら許さない」
東城太助の持つ四凶、その一体である鼟餮型電子召喚獣シラヒゲと、それを駆る少女、白河ユキナの襲撃。
正確にはシラヒゲの襲撃で、ユキナ自身はその背に跨っているだけなのだが……そのシラヒゲが、2人にとって相性が悪すぎた。
『グルルっ……』
『ガルルッ……』
クリスとフラウの電子召喚獣は、同じ白虎型で金属生成制御という能力も同じで、あえて違いを差すとしたら、クリスのハクコの方が大きい事位である。
更に言えば、主従共にそれなりに戦い慣れしており、そこらの相手には引けを取る事がない能力は持っているが……
眼の前のシラヒゲは、2体及び2人がかりでも引けを取らず、更には能力で生成した金属を喰らい、それを力にしている。
「参ったなあ、クリス姉。あの四凶とあたしら、相性悪過ぎやで」
「みたいね……まあそれより」
クリスは普段の雰囲気ではなく、真面目な雰囲気を纏った上で――
「美味しかった? シラヒゲ」
『グフォウッ!』
「うん、良かったね」
シラヒゲに跨る少女に目を向ける。
その様子は、凶事を司る神獣を模った電子召喚獣と言う異様さこそあっても、どう見ても年相応の子供が、友達を気遣っている光景にしか見えなかった。
「ねえ、ちょっと良い?」
「……何?」
声を掛けた途端、先ほどの雰囲気が嘘だったかのように、憎悪を剥き出しの目でクリスを見据える。
「そんな怖い顔しないで。お姉ちゃんは昔、太助先生の友達だったの」
「……先生の、友達?」
「そう、友達。それでね……貴方にとって、太助先生ってどんな人なの?」
「太助先生は、とっても優しい人。ユキナの事褒めてくれるし、叱ってくれるし、いろんな事教えてくれるし……なによりユキナの事、助けてくれたもん」
「そう……」
「ねえ、太助」
「なんだい、ティナ?」
「大丈夫なの? 医療とDIEシステム研究の両方を専攻するなんて、結構ハードワークになるのに」
「DIEシステムは、使い方次第で色々な可能性を内包してるからね。だから医療方面で生かす道だって、きっとある……これは、僕がなりたい僕になる為のことだって思ったからだよ」
「なりたい僕?」
「うん。僕はね、君みたいに周囲を盛り上げたり先導したり、正輝の様に皆を守る力や矢面に立つ度胸もないから、せめて……誰かに手を差し伸べられる存在になりたいんだよ」
「――安心した」
「?」
「お姉ちゃんの知ってる東城太助の意思は、まだちゃんと生きてるって」
「……だったら先生の邪魔しないでね。ユキナもう帰るから」




