思いつきカップリング(日常その2)
思った以上にしっくりきたな
カップリングと言うより、仲良し家族と言うか
「映画楽しかったね」
「うん」
休日は、裕樹とみなもの2人きりの時もあれば、裕香を伴っての時もある。
本日は裕香を伴っての、有名なハンバーガーチェーン店(学園都市支店)で、ほのぼのランチタイム。
「裕香とみなもに楽しんでもらえてよかった」
レザーの眼帯で、古傷のある左目を隠している物の、裕樹の露わになってる右目は、2人に当てられてか満足気な笑みを浮かべている。
「ねえ、あれ朝霧裕樹じゃない?」
「――あっちの子は妹として、もう1人の妹さんに懐かれてるあの美人は彼女かな?」
「彼女出来たって話ホントだったんだ」
裕樹自身が有名人だと言う事もあり、どこへ行っても注目を浴びていた。
周囲は裕樹達に注目して、あれこれいろんな話を交わし始める。
「――やっぱり、どこ行っても注目されますね」
「そんなに珍しいかね?」
「……裕樹さんはご自分の評判と女性の扱いに対して疎過ぎです」
「――けど、あの子誰?」
「……さっきみなもって呼ばれてたけど、聞いたことある?」
「全然……大方、妹さんを唆して、その繋がりで誑かしたじゃない? 大人しそうな顔してるけど、実は肉食系だとか」
ただ、どうしてもあるのがみなもに対しての、悪辣な発言。
裕樹の知名度が高すぎるせいか、そう言う色眼鏡で見られる事が多くなり、それらにみなもは未だに裕樹との外出には慣れていない。
学部の方でも、好奇心だけならまだしも、中には悪辣な発言も珍しくはない。
「――裕香、もう食べた?」
「うん。帰ろうよ、みなも姉ちゃん」
「次どこ行く?」
裕樹が裕香に目配せをして頷くと、2人はみなもの手を取って強引にその場を後に。
朝霧兄妹に手を引かれ、慌てるみなもという図は周囲の目をいろんな意味で引いたが、店から少し離れた所で2人はみなもの手を離した。
「えっと、あの――」
「みなもが気にする事じゃない」
「みなも姉ちゃんは、ユウ兄ちゃんと私がみなも姉ちゃんが大好きだって事、それだけわかってくれればいいの」
本当に気にしていないと言うのが、みなもには良くわかった。
「――苦労、されたんですね」
「――元々が保安部崩れのクズだったんでね。寧ろ俺、みなもに謝んなきゃいけない位だ」
「……私、どんな理由があったって、笑って人を傷つける人間になんてなりたくないよ」
「――今日は、お夕食も一緒に食べましょう。腕によりをかけますから」
「じゃあスーパー寄ってく? 荷物持ちなら幾らでもやるよ?」




