思いつきカップリング(食事その2)
冬と言えば――
「お待たせ。大根に白菜、ネギに豆腐に鶏肉――占めのうどん、買ってきたぞ」
「出汁は出来てますよ」
「ごはんもたけてるよ」
お鍋が美味しい季節。
本日朝霧家にて、みなもは朝霧兄妹と一緒にお鍋を食べる事になり、こたつを囲っての鍋パーティー。
「鍋パーティーはちっと新鮮だな。普段光一にダンナとで、焼肉パーティー位しかしないから」
「そうなんですか? てっきり、今までの雇い主さんと何回かあると思ってたんですけど」
「宇佐美の場合が例外なだけで、俺の仕事上での繋がりって結構弱いんだよ。大半1回会ったっきりだし、陽炎財閥なんかは人材集めの一環だから」
「――その割には、女性のファンが多いですけど?」
「ファン? 誰の?」
「いえ、忘れてください――裕樹さん程浮気や不倫に程遠い……いえ、縁がない男性って、絶対いないなって安心しましたから」
「――はっ?」
“考えてみたら、裕樹さんにする質問じゃなかったな”
みなもの心境を表すには、この一言で十分だった。
「それよりも、お鍋」
「あっ、そうだね。えっと――」
「私がやりますから、裕樹さん達は座っててください」
「じゃあ先に肉を煮込んどく」
「お願いします」
みなもが野菜を斬り、裕樹が鍋に肉を入れ始める。
裕香はその間に皿やはしの準備をして――鍋が出来あがった。
「美味そうな匂い♪」
「食欲をそそるって言うのは、こういう事なんですね」
「早く食べようよ」
裕香がごはんをよそって、準備が出来て――
「――じゃあ」
『いただきます』




