Nightmare Dive(4)
「……まだ治って無かったんだね」
「やかましいよ」
「――まあ良いけどね。出来る事と出来ない事があるのが人間なんだし、出来ない事が悪い事なら法律も学校もいらないからね」
「……お前も、そう言う哲学的な所は変わってないな?」
「僕は哲学が趣味だし、常に頭使いたいからね。僕がなり下がるのは悪党までで、偽善者や外道にまでなり下がる気はない……何て話をする為に呼んだ訳じゃないんだけど」
「お前が振ったんだろ――まあいい。さっさと案内しろ」
――多少のぐだぐだ……もとい、いざこざはあれど、太助に指定された人物
朝霧裕樹、黛蓮華、支倉ひばりの3名は、怜奈の寝室へ。
「……」
それと入れ替わる様に、椎名九十九が門番の様に戸に立ちふさがる。
手は消毒したらしく綺麗になっていたが、彼の衣服及び右手に持っている金属棒――間違いなく電子ツールではなく、正真正銘の本物の武器には、返り血が付いている。
左手の機関銃――こちらは、間違いなく電子ツールだが、持ち主が纏う雰囲気が本物同然の威圧感を醸し出させている。
「……芹、俺から離れるなよ」
ただ待つしか出来ない事に歯噛みする事も、龍星には出来なかった。
龍星もバーサクモード――狂暴化して自身の強化する方法を持っているが、それ故に眼の前の男の危険性、自分とは異なるベクトルの狂暴性……狂気が全身で感じられた為に。
『……怖い』
“狂人”
その呼び名が頷ける姿に、雰囲気――そして、瞳。
特にその瞳は、芹香の脳裏に嫌な記憶をよぎらせ――芹香は頭を振って振り払った。
一方
「……さて」
水鏡怜奈は和装が好みである事に反して、私室は洋式のドラマで見る様なお嬢様風。
蓮華が言うには、もう1つ和装の私室も持っているが、そちらでは主に茶道や日本舞踊と言った趣味に興じる為の部屋となっている。
「事態が事態だから何だけど、なんか落ちつかないな……裕香の部屋以外で女の部屋なんて入った事無いから」
「そうなんですか?」
「だってひばりも知っての通り、女子寮は基本的に男子禁制だし、マンション持ちの仕事で家に立ち入る事なんてなかったから。アスカの手伝いとかは、持って帰ってやってたからなあ」
「しみじみしてる所悪いけど、話に入って良い?」
周囲には、怜奈のベッドのそばに控えている鮫島剛と、怜奈の世話係だろう数名の女子生徒が縮こまっている。
そして、ベッドで規則的な寝息を立てながら、時折痙攣する様な動作とびくりと身体を震わせ、息を荒げて――悪夢を見ている事が見てとれる怜奈がいた。
「――さて、水鏡怜奈の状況だけど……彼女は今悪夢に閉じ込められている」
「悪夢ってのはわかるけど、閉じ込められているってのはどういう事だ?」
「――DIEシステム医療技術の悪用だよ。本来は夢遊病や不眠症に対する精神安定プログラムを、悪夢のループに閉じ込める物として応用したって所かな……解析するのに手間がかかったから、君らじゃ解析には日数かかったんじゃない?」
「……その点だけは感謝しておく。じゃあそのループを破れば、お嬢様は眼を覚ますんだな?」
「そのループが問題なんだけど――彼女の罪悪感を条件にループさせ、更にはそれを煽るような作りをしてるから、DIEでの外部干渉じゃ破るのは無理なんだよ」
そこで太助は水鏡怜奈にヘッドギアの様な物をかぶせ、そこからコードを伸ばし愛用のタブレットに接続する。
「だから、VRで彼女の精神に干渉して、ループを壊す事にした――水鏡怜奈の意識が一体どんな状態になってるかは、流石にわからないから」
「――罪悪感の緩和にしても、不測の事態にしても、俺が適任って事かよ」
「そう言う事。ループは彼女自身の罪悪感に作用するよう作られてるから、僕達は干渉した所で閉じ込められるような事はないよ」
「見捨てるわけがないとかいいながら、予防線張るなよ――わかった、やるよ」
裕樹の言葉に、太助は満足そうに笑みを浮かべて、機材の準備をし始めた。
師範とは形状が異なるVR機器と、ヘッドギア型の接続端子――。
「あれ? もう1つ?」
「脱出経路の確保と不測の事態に備えて、僕も行くよ――精神負荷なんかを考えれば、後2人はこれるけど、どうする?」
「でしたら、私が!」
「――それはまだ待ってね。そろそろ、クリスティーナ・ウェストロードと朱羽南波が嗅ぎつけてくるだろうから……」
「先生、来たみたいだよ?」
「ユキナ、通してあげて」
「うん」
「――あの、裕樹さん」
「どうした、ひばり?」
「――あたしも、行かせてもらえませんか?」
さて、ここでアンケートです。
水鏡怜奈のループ悪夢に入れるのは4人
朝霧裕樹と、東城太助--残り2人は誰がいいのか?
アンケートです!
1.支倉ひばり
2.朱羽南波
3.クリスティーナ・ウェストロード
4.榊龍星
5.黛蓮華
アンケートは、活動報告、感想、メッセージのどれでもお受けいたします。
そして、レフェルさんにヒョウガさんは、大変申し訳ありません。
展開的にお2人のキャラが絡め難いので。




