思いつきカップリング(食事)
「悪いな、メシ作って貰って」
「良いです……良いよ。裕香ちゃんと一緒にお料理するのも楽しいですし、1人より皆で食べた方が美味しいから」
「そうだよ、ユウ兄ちゃん」
「――んじゃ、冷めないうちに食べるか」
「「「いただきます」」」
時は過ぎ、夕食の時分
差し身を主菜にした和食メインの献立の夕食。
差し身を1枚、醤油をつけて食べようとした裕樹に……。
「ユウ兄ちゃん」
「ん?」
「あーん」
「ダメ。甘え過ぎ」
「……あーん」
「だから……はぁっ。1つだけな」
「はーい」
溜息をついて、裕香に刺身を差し出して、裕香が一口。
満足そうに咀嚼する裕香に、裕樹は苦笑する。
「裕樹さんも、裕香ちゃんには甘いね」
「――自覚はあるけど、それはお互い様だろ?」
「……うん」
呑みこんだらしい裕香の、自分に向けてる期待の視線を感じつつ、みなもは苦笑して頷いた。
勿論それに抗う事など出来ず……
「はい、あーん」
「あーん」
みなもも一切れつまんで、裕香に食べさせた。
にこにこと咀嚼する裕香に、みなもも微笑ましさを抑えられず、笑みを浮かべた。
「――まあ、良いけどね」
「あっ、待ってユウ兄ちゃん」
「裕香、1つだけって言ったろ?」
「違うよ」
そう言って今度は、裕香が刺身を1枚差し出した。
「おかえし」
「――悪い、流石にそれは遠慮する」
「……(じーっ)」
「……ごめんみなも、出来れば見ないでくれない?」
「――わかった」
みなもが視線をそらしたのを確認し、裕樹は意を決して裕香の差し出す刺身を一口。
「――違法召喚獣との戦いより緊張する」
「いえ、その例えは逆に裕香ちゃんがかわいそうです……言いたい事はわかりゅけど」
「みなも姉ちゃん♪」
「――あーん」
裕樹が顔をそらし、みなももどぎまぎしながら裕香の差しだす刺身を一口。
裕香が満足そうに笑みを浮かべるのを見て、みなもも満更でもなくなる。
「うん、美味しいね」
「さて、今度こそ普通に……」
「え?」
「……なんだその“え?”って? ――まさか俺達にもやれと?」
裕樹の言葉に、裕香がきょとんと首を傾げ、すぐに頷いた。
「ゆゆゆゆゆゆゆうきゃちゃん。しょれひゃ!?」
「落ちついて、みなも姉ちゃん。言葉になって無いよ」
「みなもがこれじゃ無理だ。後で抱っこしてやるから、もうおしまい」
「だって、ユウ兄ちゃんとみなも姉ちゃんの仲良しな所、見たかったんだもん」
「仲良しの? ――わかった、後でみなもも抱っこするからそれで」
「だぁっ!!? ――ぷしゅ~!」
「――あれ?」
「どうしたのかな、みなも姉ちゃん?」




