思いつきカップリング(日常)
「えへへっ、お姉ちゃん♪」
「裕香ちゃん、くすぐったいよぉ」
「お姉ちゃ~ん、すりすり~♪」
「もうっ、どうしたの裕香ちゃん? 今日はいつにもまして甘えんぼさんだね」
「だって、ずっとお姉ちゃんが欲しかったんだもん――そのお姉ちゃんに、みなも姉ちゃんがなってくれるかもしれないなんて……お姉ちゃん♪」
デート帰りに裕樹達の家によって、裕香に顔見せ。
一応みなもにその意思がある事を伝えてから、裕香はずっとみなもにべったりで、今はソファーで裕香がみなもの肩に顔を埋める形で、上機嫌その物にお姉ちゃんと呼んで抱きついてる。
「ホント、喜んでるな」
「はい――かもしれないでここまで喜んでくれるなんて、思いませんでした」
「裕香、嬉しいのはわかるが程ほどにしときな? まだ決まった訳じゃないんだ」
「はーい」
裕樹がコーヒーにココアを2つ、菓子をテーブルに並べる。
勿論、裕樹がコーヒーで、みなもと裕香がココアで、みなもがテーブルについてココアを一口。
「――美味しい」
「そう? ――裕香にせがまれてよく淹れるけど、他に呑ませた事無いから」
「大丈夫です。優香ちゃんがお気に入りだって言うの、わかりますから――所で、このお菓子は」
「お得意様に裕香へって貰った物。確か、メアリーガーデンだっけか?」
「……高級菓子じゃないですか」
余談だが、学園都市の高級料理店は外の高級料理店の学園都市支店として、主に青田買いの場として機能していたりする。
勿論そう言うお店は、現役の視察でテスト(抜き打ちで)をする為、結構厳しい。
「ユウ兄ちゃん」
「ん?」
そんな話をしてる間に、裕香が裕樹に歩み寄って、抱っこをせがむように両手を広げる。
裕樹にとって、裕香を苦もなくひょいっと抱き上げてやり、裕香は足まで使ってしがみつく様に裕樹に抱きついて、裕樹の胸に顔を押し付けた。
「どうしたんだよ? 2人きりでもないのに、抱っこせがむだなんて」
「お姉ちゃんの前だから良いの。ぎゅ~♪」
「まだそうと決まった訳じゃないぞ?」
裕香が傍目で見ても思い切り力入れて抱きついて、更には顔をぐりぐりと押し付けてると言うのに、裕樹はあまり苦しそうにしてない。
「――痛くないですか?」
「? 別に――ああっ、みなもだったら痛いだろうなこれは」
「――裕香ちゃんが意外と力が強い理由、わかりました」
「――ねえねえみなも姉ちゃん、この家来た時は敬語はやめて? ユウ兄ちゃんも、それで良いよね?」
「ん? ――ああっ、家族気分が壊れるからっていうんなら、まあ良いけど」




