思いつきカップリング
「……あの、裕樹しぇんぱい?」
「ん? 何かな?」
「これは一体、どういう状況なんれしょう?」
「何って……デート、みたいな?」
現在裕樹とみなもは、2人で和風喫茶“緋桜”にてのんびりティータイム。
更に言えば、2人の横にいくつか、買い物袋が置かれている。
「午前9時に待ち合わせて、映画見てからレストランで昼飯食って、ショッピング――主に今俺達の横に置かれてる服買って、今に至る」
「はい、今日はとても楽しかったですけど……」
「事のきっかけは、裕香のある一言」
“みなも姉ちゃんをお姉ちゃんに欲しい!”
「で、その後色々となんかドタバタがあって、それが落ち着いてからトントン拍子に今日のデートが決まってから、今に至る」
「……そうでした」
……そんな簡単な過程では無かった筈なのだけど。
と、みなもは苦笑しながら頷いた。
「まあ何はともあれ、楽しかったな」
「はい、楽しかったですけど……でも、良いんれしゅか? 裕樹しぇんぱいは……」
「みなもなら断る理由はない所か、裕香が甘えん坊発揮する位になついてるから、本気で考えるには十分だけど――みなもは嫌だった?」
「いえ――裕香ちゃんなら、お姉ちゃんに欲しがってくれる事も嬉しいですし、妹に欲しいとも思ってます」
「じゃあお互い、考える余地がある――位の認識で良い?」
「そう、れしゅね」
――それだけでも、裕香ちゃんが喜んでくれる顔が目に浮かぶなあ
と思いつつ、みなもは席を立ち……。
「ひゃっ!」
足を引っ掛け、躓き……
「おっと」
倒れそうなところを、裕樹が抱きとめた。
裕樹の胸に、みなもが顔を埋める様な形で。
「大丈夫?」
「――!!? ひゃっ、ひゃい!! だっ、だじょびばひぇっ!!?」
「みなも落ちつけ、人間の言葉になって無い」
男性に抱きとめられた事もそうだが、裕樹の身体の堅さ――逞しさに触れた事もあり、みなもは普段以上に動揺していた。
「――はぁっ、はぁっ……しゅ、しゅみましぇん」
「良いよ別に。あれ位よくやってるし、みなもは今までやった中でも軽い方だから」
「……」
「? どうかした?」
「……なんでもありません」
――が、店を出てすぐの、裕樹の発言であっさりと熱が引いた。
「裕樹先輩って、実はもう誰かと付き合ってるとかは?」
「無いよ全然」
「……裕香ちゃんの願いが遠かった理由、実感できみゃした」




