体育祭シーズン 短編 物思う秋
今回はほのぼの系です
裕香の学校の体育祭にて。
裕香は兄と違い、勉強も運動も可もなく不可もなくな平均的な能力な為、ぱっとしない成績続きだったが、裕香の最後の参加種目の障害物競走で堂々の1位を獲得したものの……
「――ごめんね、ユウ兄ちゃん」
「良いよ別に」
ゴールした後に捻挫してしまい、裕樹におんぶされての帰路となってしまった。
「けがをしたのは残念だったけど、裕香ちゃんがんばったね」
「ありがと、ひばり姉ちゃん」
裕香の応援には、つぐみにみなももそうだが、ひばりも来ていた。
余談だが男性陣は、去年起こった誘拐騒ぎの警戒をしていて応援は出来なかったし、宇佐美も兄に呼ばれていてこれなかった。
そして今は、つぐみにみなもは用事で帰ってしまい、裕樹と裕香、そしてひばりだけの帰路。
「障害物競走、随分と必死だったな?」
「うん――折角皆見に来てくれてるのに、全部ぱっとしない成績だったから、最後くらいはカッコ良い所見せたかったの」
「――裕香ちゃんは良く頑張ってたよ。それは皆にちゃんと伝わってるから、大丈夫だよ」
「ありがと――でもやっぱり最後くらい、カッコ良い所見せたかった。皆に流石はユウ兄ちゃんの妹だって、褒めて欲しかったよ」
そう言うと、裕樹の首にまわしてる裕香の腕に、力がこもる
「――私もユウ兄ちゃんみたいに、生まれたかったなあ」
「――裕香ちゃん」
「……ごめんユウ兄ちゃん、眠くなっちゃったから寝るね?」
「ああっ――疲れたんだろ? 寝て忘れちまえ、そんなもん」
「うん……」
裕樹が裕香を背負い直して、裕香が方に顔を埋めると、すぐにスースーと寝息を立て始める。
ひばりはそんな裕香をみて――。
「――裕香ちゃんでも、弱気になることあるんですね」
「――俺みたいに生まれたかった、か……寧ろ俺は、普通に生まれてれば裕香だって、苦労せずに済んだかもって、想うことあるのに」
「……裕樹さん、今日はご自宅に寄らせて貰って良いですか? 裕香ちゃんの御褒美に、夕食を作ってあげたいんですけど」
「どうしたんだよ、一体?」
「良いんです。今日はお2人について居てあげたい気分ですから」




