学園都市体育祭シーズン開催(エピローグ)
「ねえお兄ちゃん、光一君」
「ん?」
「なんだか、周囲に人が増えてない?」
体育祭の為に設けられた、共用休憩所にて。
レジャーシートを強いて、光一に龍星、つぐみにみなも、途中から合流した芹香にクリスがお弁当を食べてる中で。
ふと周囲を見回してみれば、明らかに先ほどよりも人が増えていた。
「どっち見に行こうか?」
「私は断然第2。愛しの凪様の雄姿は見逃せないよ」
「あたしは、第1――朝霧先輩には以前、助けて貰った事があるから(ぽっ)」
「見に行くなら、やっぱ北郷長官だよ。以前とてもお世話になったし、一撃必殺の拳は必見だよ絶対」
「やっぱ鳴神さんだよな。あの人の戦いは、見てて熱くなるからよ」
しかも会話の内容からして、全員がエキシビジョンマッチを見に来ている事がわかる
「――皆それぞれファンがいるんだね」
「裕樹しぇんぱいも、失礼れしゅけど意外と女の子のファンが居るなんて」
「そりゃね。全員が秩序なり要人なり、それぞれ守ってきた物がある訳だから」
「そだよん。それにユウやんもほぼ無償(食事で手を打つなど)で人助け(こちらも主に女性)することあるからねい」
「まあその分、恨みも買っている訳で――」
「畜生、離しやがれ!!」
「観念しろ!!」
「離せコラア、北郷の野郎ぶっ殺してやる!!」
「御影の奴さえいなけりゃ!!」
「――その分、恨んでる人もたくさん居るんれしゅね」
『――イベントに乗じて、でどうにかなる人達でもないどころか、厳重警備が敷かれてるのに』
「そう言えばこのエキシビジョンマッチは、生徒総会だけじゃなくて理事会も見に来るって話だったな?」
学園都市理事会
生徒総会が、学生による学園都市の内政を司る機関であるように、大人による学園都市の実質的な運営を司る機関――それが理事会である。
「――理事会」
その理事会には、クリスの実家出身の者もいる為、表情が少し曇った事は幸い誰も気づいていない。
「――すごいね。確か理事会って、実際に観戦する事は特定の行事イベント以外じゃまずないのに」
「そんな大舞台に立てる人が、身近にいるなんて信じられましぇん」
『それだけ、このエキシビジョンマッチは注目度が高いんだよ』
「勿論、この4人の戦いだけじゃないさ。学園都市はDIEシステムの実験都市みたいなもんだから、理事会にとってはこの4人の実力、経験を得た電子召喚獣のデータも重要なんだよ」
「――成程な。“王者の祝祭”と呼ばれるだけの事はある」
光一の説明を受けて、龍星はそう呟いた。
元々このエキシビジョンマッチ自体、企画された時点で“王者の祝祭”とも呼ばれており、即座に最大イベント級の資金も規模も用意されていた。
「さて、そろそろ行こうか」
「そうだね――席は大丈夫なの?」
「一応座れる席は取れた。ダンナ、飲み物の確保は?」
「出来てるぞ――さあ、行こうか」
「うむんっ、鼻血必須のミニスカタンクトップチアガールの衣装は人数分……」
「「用意するな!!」」
男性2人のツッコミが周囲に響き渡った。
「――やっと見つけた――あれ? どうしたんですか?」
「ああっ、朝倉。ごめん、なんでもない」
次回、新シリーズ“王者の祝祭”




