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学園都市体育祭シーズン開催(4)

「それでは武闘系体育祭の開催を宣言します」

 生徒総会総会長、井上大和の宣言により武闘系体育祭は無事開催された。

 武闘系体育祭は通常の体育祭とは少々勝手が異なっており、適正に役割、得意分野に専門業務を考慮して行われる為に、実は分野は多岐にわたる。

 種目参加は事前希望制であり、内容によっては人数が大きく変動する。

「だから俺みたいな技巧派専用の競技もあれば、龍星のダンナの様な肉体は専門の競技もあるんだよ」

「そして、どの競技も多少の力自慢程度では、成績以前の話だからな――まあだからこそ、俺もやる気になる訳だが」

 参加者の光一、龍星は共につぐみにみなも達の元へ、

 鷹久に綾香は既に参加している為、この場にはいない

「射撃ブースでラピッドファイアピストル。旦那は?」

「パワーショック――あれだ」

 龍星が指さしたのは、どんとおかれた枠。

 その中心には、遠目で見ても相当の大きさと重量を持つ事が良くわかる、超大型サイズタイヤがつりさげられている

「あのタイヤの振り子を、一撃の重さでどれだけ大きく振れるかだ」

「……あれ、絶対ダンプカーのタイヤだよね?」

「つぐみ、今言ったろ? 多少の力自慢程度じゃ、成績以前の話だって。他にも……」

 光一が指さした先では、数人がグラウンドを走っていた。

 ――ただし、背にパラシュートをつけた、パラシュートランの形で。

「くっ、はあっ、はあっ……」

「ぬおりゃああああああああああああああああああああっ!!!」

 高峰光も、今にもパラシュートに飛ばされそうな小さい体で、殆ど歩いてるのと変わらないスピードで懸命に走っている。

 その横を、まるで普通に走ってるかのようなスピードで、生徒会SP護送警備隊分隊長、赤羽竜太が駆け抜けて行った。

「「……」」

「さて、俺も行くか」

「んじゃ、また後で」

「あっ、待ってよお兄ちゃん!」

「うんと……光一君、応援しましゅ!」

 龍星がタイヤをつりさげた枠に、そして光一が射撃ブースのある方へと歩を進めると、つぐみが龍星の、みなもが光一の後を追いかける。

「あの、光一君。しょういえば……」

「ん?」

「裕樹先輩と裕香ちゃん、それにひばりちゃんに宇佐美ちゃん、どうしたんれしゅか?」

「ああっ、あいつらなら特別控室に居る筈だけど?」

「特別控室?」

「そう。ユウを始めとした優勝候補は、これら通常競技にでちゃいけないって通告があったらしい」

「――これが通常競技れしゅか!?」

 どう見ても“通常”という言葉にあてはめるには、到底無理な内容にみなもは仰天の一言だった。

「だからユウ達の今日やる競技は、昼休み後の一番にある――大半が見に来るだろう、エキシビジョンマッチだけだよ」

「そうなんれしゅね」

「さーてと……銃競技とはいえ、俺もそう余裕ある訳じゃねえから、気合入れるか」

「頑張ってください、光一君」

「ああっ――優勝したらキスの1つでも、なーんてな」

「ひぇっ!!?」



 ――所変わって。

「どうした一条? ……正座がつらいなら、崩しても構わんぞ?」

「……いえ、大丈夫です」

「それより、意外ですね……北郷長官の趣味が、茶道だなんて」

「支倉、茶の場に肩書はいらん。もう少し気楽に構えて構わんぞ?」

「――私、茶道見るの初めてだよ」

「茶がダメなら、茶菓子だけでもかまわんぞ? 最中に団子、羊羹を始めとした甘味は、取り揃えてある」

 特別控室にて。

 宇佐美にひばり、裕香は正輝の茶の湯にお呼ばれしていた。

「ふっ! ふっ!」

 その少し離れた場では、鳴神王牙が2本のバーベルを手に、ダンベルトレーニングを行っていて――。

「――へえっ、流石は光一」

「射撃であの男に勝てる奴等、そうそういないだろう――そして」

「各競技は、分隊長に隊長クラスが順当に勝ち上がってるな」

 凪と裕樹は、体育祭の中継を大画面のテレビで見ていた。

「――あっ、惜しかったな龍星のダンナ」

「……相手は中原か」


「――防御だけって訳でもなかったか」

「――俺の唯一にして最強の攻撃手段である寸徑、通称ワンインチパンチ、舐めて貰っては困る」

「保安部機動隊隊長の名は、ダテじゃないか――さて、次は」

「――ああっ、榊さんじゃないですか」

「蓮華ちゃん――じゃなかった、蓮華か。この競技も、そう簡単にはいかん様だな」


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