姉妹みたいな一時を(みなも編 その2)
所は、みなもの寮の部屋。
「♪」
「あっ、ダメだよ。お風呂沸かさないといけないから、ね?」
「抱っこしてくれなきゃやだ」
「――良い子なのに、こういう時は聞きわけがないんだから。わかったから、ちょっと話して? 苦しいから」
「はーい」
みなもが食器をシンクに片付け、水につけてる最中に裕香が抱きついて、待ちきれないと言わんばかりにぎゅーっと腕に力を込める。
みなもは苦笑して、抱っこは流石に無理なので、膝をついて裕香をぎゅっと抱きしめてやると、裕香がみなもに頬擦りをしてくる。
「みなも姉ちゃんのほっぺ、柔らかいね♪」
「裕香ちゃんには負けるよ」
「うん、柔らかほっぺが自慢だもん。アスカ姉ちゃんもひばり姉ちゃんも、褒めてくれる」
「そう……って、やっぱり他にもやってるんれしゅか?」
「――? うん。でも誰でもじゃないよ?」
「――うん、それはわかるよ?」
実際みなもも、実際甘えられるまで知らなかったし、裕香も普段はそれを全然出していないどころか、寧ろ甘えん坊からはてんで無縁な振る舞いをしている。
だから、知ってる人間が限られてるのも、無理ないと思っていた。
「……」
「? どうかした?」
「――なんでもないよ。それじゃ、そろそろお風呂の準備しないといけないから」
「はーい」
ようやく離して貰ったみなもは、一路お風呂場へ。
風呂掃除をしてから、スイッチ1つで風呂の準備が完了の充実設備の恩恵を受けて、みなもはさっきの続きに。
「裕香ちゃん、お待たせ。さ、抱っこして……」
「あっ、みなも姉ちゃん。着替えの準備しといたよ?」
「あっ、ありがとう」
出向いたリビングでは、裕香が自分のとみなもの分の寝巻(無論、下着も含めて)を用意している所で、裕香の手には……。
「流石にみなも姉ちゃんの、おっきいね」
「みっ、みちゃらめれしゅ!!
慌てて裕香の手からひったくった。
「裕香ちゃん、わちゃしの分は用意しなくていいれしゅ!」
「? えっと……ごめんなさい」
「――気を利かせてくれるのは嬉しいれしゅけど、こういうのはその」
「――? よくわかんない」
「――なんだか、変な部分で裕樹先輩との血のつながりを感じましゅ」
「……そうだ、下着で思い出したけど、一緒に買いに行ってくれない? ユウ兄ちゃんに頼んだら、お金だけ渡されてね?」
「……流石にそこまで非常識じゃなかったようれしゅね」
「へっきし!」
「きゃっ! もうっ、汚いじゃない!!」
「ああっ、悪い--また誰かに悪態つかれてんのかね?」
「人気者はつらいね」
「そだね--なあ宇佐美、今度裕香の買い物付き合ってやってくれない?」
「? 良いけど、ユウじゃダメなの?」
「いや、買うの下着だから」
「……なんでこんな事で見直しちゃうかな?」




