保安部所属の少女
記念すべき第1回
ヒョウガさん投稿キャラ、高嶺光の話となります。
こちらは、一先ずは投稿キャラ順で創っていこうと思ってます。
「はっ……はっ……ふぅーっ」
保安部の訓練は、過酷を極めている。
故に休憩時間は、一部を除いて死屍累々としている事等最早日常の光景となる。
「大丈夫? 光」
「あっ、大輔君……大丈夫って、強がり言えないのはつらいかも」
「まあ女子で、しかもその小さいたっ!」
「ちっちゃくないぞ! ちっちゃくなんてないんだから!!」
よろよろと立ちあがって、同僚――と言うか、上司に向けて脛に蹴りを放つ少女。
保安部員の機動部隊では珍しい女性で、本人は認めていないが保安部のマスコット的存在である、高峰光。
小さいが禁句で、そう言った相手には辛辣になり、脛に蹴りを放つ――と言う経緯から、体躯に似合わず格闘戦を得意とする。
「ああっ、ごめんごめん。うっかりしてた」
「もうっ……!」
頬を膨らませての抗議に、中原大輔も苦笑しながら平謝り。
そこでふと、ある人物が視界に入った。
「あれって……」
「ああっ、朝霧さんに……彼女が、今回の護衛対象みたいだね」
「……また女性かあ。あの人、デリカシーが全然ない上に、乙女の禁句にセクハラを平然と言うのに、よくいっつも女の子ばっかり」
「そこは不思議だな、確かに」
「まああの子って確か、一条総書記の妹さんって話だよね。それなら、朝霧さんじゃないと厳しいか」
「――あの子?」
「何か言った?」
「何も」
ビ――っ!
「あっ、休憩は終わりみたいだね。光、今日は俺とやろうよ」
「うん、いいよ」
休憩時間が終わって、それぞれ実戦乱取りに入る。
光は近くに居た大輔に声を掛けられ、構えを取って相対する。
「今日こそは、大輔の防御崩してあげるからね」
「保安部最強の防御力、簡単に破られちゃあ威信に関わる」
「それを崩してこそ、私達も……あっ」
光が意識を向けた先――そこでは、朝霧裕樹と北郷正輝の一戦が行われていた。
「ホント、別次元の戦いだね」
「あの人達の前じゃ、俺達でも一捻りにされかねないレベルだ。無理もないさ」
「――あーあ、まだまだ遠いなあ」
「そう言えば光は、北郷さんに憧れてここに来たんだっけ?」
「うん」
「コラ! そこの2人、何をくっちゃべっている!!」
「っとと、真面目にやるか」
「そうだね――おいで! ライガー、クック! 全開で行くよ!」
『ウォウッ!』
『ピュイイッ!』
光の声に応えるかのように、足元に姿を現した小さな狼型電子召喚獣ライガーと、肩に留まる姿で現れた鷹型電子召喚獣クック。
2体が嘶き、咆哮すると光の手足が光の包まれ、強化される。
「そう来るなら――ウイウイ、全てを防ぎきるぞ!」
『ウ~イ~』
亀型電子召喚獣ウイウイ。
大輔の掛け声と共に、甲羅が剥がれ浮遊し、その剥がれた甲羅が陣をとり始めた。
「……やっぱり、破れなかったなあ」
「俺とウイウイの鉄壁は破るには、まだまだ足りないって事だよ」
「……もっと頑張らないと――今はこれを食べきるのに、だけど」
光がげんなりとした顔で、今居る食堂のテーブルの上にある食事を見つめていた。
保安部の食事はとにかく量が半端なく、しかもボリュームたっぷりの為に、女子としてはあまり歓迎が出来ないメニューである。
「――もうちょっと、量減らせないかな?」
「俺達より少なめなんだからいいだろ?」
「……ほんとにちょっとしか少なめじゃないから!」
「うっ、ぐっ……がふっ……」
「ちょっ、大丈夫光一!? バケツ持ってこようか?」
「やめろ、吐いてもペナルティなんだぞ」
「……同じ苦労を分かち合う仲間がいるって事で、納得するしかないかな?
「だろうな」




