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???の章・記憶
「おい…大丈夫か?」
少年が声をかけてくる、体中が、痛い
鴉の鳴き声が気に障る、嘲笑うかのように、煩い
「…誰?」
起き上がり少年を見据える。
少年は驚いたような顔をした。
「ふう…良かったー…俺はギアス・レクイエム、お前は?」
ギアスと名乗った少年はにっと笑う
「…分からない、名前も、ここがどこかも」
「ええ?!わかんない?!」
ギアスは大声を上げる、その声に驚いたのか、鴉達は皆飛び去って行く。
「…うん、記憶がない」
「んあー…どうしようなー…置いてくのもなー…」
ギアスは首をかしげて唸る。
「とにかく…ここ何処?」
鴉のいなくなった森には、常世の闇が近づいている。
周りには花が咲いていたりなどする。
「ん?ここはな、特に決まってないんだ」
「決まってない…?」
ギアスはこくりとうなずくと、手招きして「こっちこっち!」という。
とりあえず、今はその後について行ってみることにした。




