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禁気の刃使い  作者: 星長晶人
第三章
82/163

二日目開始

 パン、パン、パン!


 クラス対抗戦、二日目。


 三つの空砲によってその開始の合図がなされる。


 残る試合は七試合。だがいずれも濃密な試合内容になるだろうという予想だ。


 三回戦第一試合、三年SSSクラスVS二年Aクラス。


 第二試合、三年SクラスVS二年SSSクラス。


 第三試合、一年GクラスVS三年SSクラス。


 第四試合、二年SSクラスVS一年SSSクラス。


 原則最も優秀な生徒から選出される生徒会役員が勢揃いしている三年SSSクラスに、二年三大美女のいる二年SSSクラスに、レクサーヌ先輩率いる二、三位を争う三年SSクラスに、今年のダークフォースだと言われている一年Gクラスに、全校で五位以内には入る二年SSクラスに、負傷者は多いものの問題児が多くいる一年SSSクラス。……二年Aクラスは一年Sクラスと二年Gクラスという比較的当たりのいい位置にいたため三年SSSクラスの噛ませ犬になること間違いなしとされている。


 ……さすがに三年と言うべきか、上位三クラスがベストエイトまで勝ち上がってきている。二年も上位二クラスと三年SSクラスに負けた二年Sクラスと飛ばし二年Aクラスと三クラス勝ち上がってきている。一年はさすが問題児の代と言うべきか、最高のクラスと最低のクラスが勝ち上がっていた。


 厳しい戦いになる。誰もがそう予想しての二日目だった。


 第一試合。厳しい戦いになると予想された中でもおそらく瞬殺と言われた試合だが、文字通り瞬殺だった。もちろん三戦三勝で三年SSSクラスの勝ちだ。


 三回戦からは三勝した方の勝利であるため、二回戦よりも瞬殺だ。一分ぐらいだっただろうか。……二回戦目、ちゃんと見といて良かったな。大将まで回らなかった。生徒会長の戦闘を見れるのは三戦の内二戦だけって訳だ。まあ、次の試合で回ってくるかは分からないが。


『さすが! さすがは三年SSSクラス、生徒会役員! 三回戦になっても余裕さは変わらないーっ!』


 実況の先輩がテンション高く言った。……よくあれで一日持つよな。ってかもう二日目なんだが。


 第二試合、二年SSSクラスと三年Sクラスの試合が始まる。初戦は惜しくも敗れる二年SSSクラスだったが、二、三、四戦目で圧勝し、四回戦へと駒を進めた。……やっぱり別格だな。


『やはり強い! 二年SSSクラス! そして四回戦目、準決勝にて先程登場した三年SSSクラスと、二年SSSクラスが対戦することとなります! 去年、そして今年も! この二クラスが準決勝で当たることとなりました! 去年は四戦目で惜しくも敗れ、スフェイシアさんと生徒会長にまで回りませんでした! 今年はどうなるのか、早くも楽しみです!』


 実況がもう頭に血が上って倒れるんじゃないかって程テンション高く言う。……去年も戦ってるのか。四戦目ってことはアンナ先輩か? 誰かが一回勝ったものの、シア先輩まで回らなかったという。じゃあどこでシア先輩の自信は砕かれたんだろうか。また別のところなのか?


「……去年、初戦で出たセフィア先輩が圧倒したものの、二、三、四で負けたんだ。四戦目はアンナ先輩だったが、あの時は先輩も一年。経験も浅くグリモアの理解も今より浅かった。だからイリエラ副会長に負けたんだ。その後スフェイシア先輩が頭下げて会長に頼んで戦い、そして瞬殺された」


 チェイグが昨日のショックから立ち直れてないのか、それとも改めて三年SSSクラスの強さを見せつけられたからか、沈痛な面持ちで言った。……シア先輩が戦って、負けた。それも瞬殺だという。


「……もちろんスフェイシア先輩はこの一年でメキメキ強くなった。二年最強を堂々と名乗れるぐらいにな」


 チェイグは続ける。……ってことはつまり、一年前のシア先輩は負けたが、生徒会長との差は縮まってるってことかもしれない。だがそれでも勝てないかもしれない、という可能性の方が高い。


 第三試合、一年GクラスVS三年SSクラスだ。


 初戦と二戦目は辛くも一年Gクラスの勝利となった。……大将に回す前に勝ちたかった三年SSクラスの面々は表情が優れなかったが、三戦目でレクサーヌ先輩が圧倒すると流れを掴み二連勝した。


 そして、大将戦が始まる。


 一年Gクラス大将はゼアスという名前らしい。全校で唯一魔剣に選ばれた最大の問題児。


 三年SSクラスの大将は気の三つ融合と身体強化をいくつか使った――魔法戦士タイプだ。レクサーヌ先輩が一番強いんだろうが、剣と素手であり相手の能力が分からない今、戦術の幅が広い男子の先輩に変えたんだろう。とはチェイグの見立てだ。


 レクサーヌ先輩は獣人なので脅威的な身体能力を持っているが、魔力が乏しい。そのため交代したんだろう。


 男子の先輩が台がなくなり場外がなくなったフィールドを縦横無尽に駆けながら、だんだんとゼアスに近付いていく。……さすがにこのレベルになると速い。これはいけるかもしれない――と会場は思っているだろう。


「……はっ!」


 だが先輩が攻撃を仕掛けた瞬間だった。ゼアスはニヤリと笑って剣を一振りして、一回戦と同じように剣ごとレイヴィスごと、先輩の身体を切り裂く。


 一撃だった。


「五戦目、勝者一年Gクラス! よって一年Gクラスの勝利とする!」


 レフェリーが崩れ落ち血を地面に滴らせる先輩を見て高らかに宣言し、素早く陣地から駆け寄ってくる医療メンバーの下へと運んだ。……昨日とは違い、今日のレフェリーは気合いが入ってるようだ。


 生徒達が戦っているとはいえ、まだ目覚めていないヤツが数人出てるからだろう。ゼアスは規制出来ないが、イルファの件は上も検討したようだ。サリスの件で理事長に説教されていたとはアリエス教師から聞いたことだ。


 今日は次々と試合をやることがないため、前の試合が終わってからベンチへと向かうことが出来る。


「……さあ、いこうぜ」


 俺は言って観客席から立ち上がり、ベンチに向かった。

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