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禁気の刃使い  作者: 星長晶人
第三章
71/163

クラス対抗戦開始

※本日二話目

「……俺が大将?」


 初戦の一年DクラスVS三年Bクラスの試合が始まり、俺達選手も観客席へと上がり空いてる場所に固まって観戦していた。


 そこで俺の後ろの席に座ったチェイグが、ベストメンバーの順番を発表した。


 チェイグとアリエス教師が話し合って決めたところによると、オリガ、リーフィス、フィナ、アイリア、俺らしい。まあ全部が全部これって訳じゃない。二日に分けられているとは言え、全力で戦ってばかりなら体力の消耗が激しくて選手の交代は必須となる。


「……ああ。優勝を狙ってくならルクスが大将だ。現時点で生徒会長に勝機があるのはお前だからな」


「……」


 ……無理だろ。気と魔力を巧妙に隠してあるためお前には分からないだろうが。


 とは言えなかった。ってか、願ってもない申し出だ。


「俺に任せろ。気だけでもあいつに勝てるって証明してやろうじゃねえか」


 俺はニヤリと笑って答える。


「……ルクス、あのちっちゃい子と戦う?」


 俺の膝の上にちょこんと座ったフィナが聞いてくる。……ちっちゃい子って……。フィナには言われたくないだろうに。


「……さあな。今回は途中でシア先輩とこと当たるかもしんないから、負けるかもしれないだろ?」


 俺はニヤリと笑う。そうであって欲しいと思うが。シア先輩が実際に、本気で戦っているところを見てみたい。


「……いくらスフェイシア先輩でもあの生徒会長に勝つのは難しいぞ?」


 チェイグが俺に苦笑しつつ険しい表情で言った。


「……ま、確かに気を探ってみたが、ありゃ化け物だな。魔力を持ってて俺と同等って、卑怯すぎねえか?」


「……そう言うな。そんなこと言ったらお前以外全員卑怯ってことになるだろ」


 チェイグが俺の言葉に苦笑する。


 ……だから、そう言ってんだろ? 俺に魔力がない時点で、俺は誰よりも弱い。一時の強さなんだ。


「……ま、勝つさ。俺は気を十年以上も特化して鍛え上げてきたんだからな」


 そんなことは口に出さない。俺は笑ってチェイグに応えた。


「……ああ、任せたぞ。会長だけじゃなく、大将戦に出てくるのはそのクラスで一番強いと思われる者だ。気は抜くなよ」


「当たり前だ。俺の邪魔をするヤツは、全員叩き斬ってやる」


 俺はニヤリと笑う。……ちょっと戦闘狂ぽかったか。まだスイッチは入ってないんだがな。アリーナの熱気に中てられたのかもしれない。


 アリーナのバトルフィールドには正方形の白い台があり、そこが戦いの場になる。その周囲は土が剥き出しの地面だ。


 一年生が初戦で初めてのクラス対抗戦ということもあってガチガチに緊張し、三年は逆にクラスにも差があるし場数も踏んでいるので余裕で緊張せずに戦っている。……次の相手が三年SSSクラスだということでウォーミングアップも兼ねているのかもしれない。


 五戦全部やるのだが、一戦が短いため合計五分とかからずに終わった。もちろん三年Bクラスの勝利だ。


 第二試合は一年CクラスVS二年Gクラスの対戦になるが、これは俺にも勝負が分からない。恐らくスタッフと担任の采配によって決まるんだろう。


 俺の見立てでは二勝二敗で勝敗は最後の勝負に持ち越される。そこで一年が意地を見せるか二年がプライドを見せるかで変わってくると思われる。


 試合前、担任が率いる形で試合に出るヤツが出る順番で並ぶ。だから誰と誰が戦うかは分かるんだが、かなり実力は拮抗していると思われる。……まあ俺の見立てなので気に関することだけだが。


 上級生の中では最も一年に実力が近いと思われる二年Gクラスが相手だ。これをチャンスと見るヤツも多いだろう。さっきの試合よりは緊張せずに戦えるかもしれない。


 俺の予想通り、初戦から拮抗した戦いが続く。だが――


「……場数が違う、な」


 恐らく一年にはここまでの大舞台で戦う機会が今までなかったんだろう。肝心なところで攻め切れない、躊躇する、緊張して萎縮するなどの理由が重なって俺の推測に足る実力が出せていない。


『一年生もいい勝負をしていますが、おおっと? これは決まったか? レフェリーが手を上げる! ここまで四戦が終わり、二年Gクラスが四勝しています! 惜しい勝負が続きますが、一年Cクラス、なかなか勝利を手に出来ないでいます!』


 実況の女子が経過を伝える。……そう、惜しいには惜しいんだが、今一つ勝てない。ついに大将戦になったが今まで四敗している。


「完勝と四勝じゃあ次の試合への影響が違うぞ! 勝ってみせろ!」


「四人共惜しい試合だったんだ、勝ってみせろ大将!」


 両クラスの担任が最後の選手に向けて激励する。


「任せとけって、先輩の力を見せてやるぜ!」


「……」


 二年の方は軽く、一年の方は何も答えなかった。……緊張? 違うな。


「始め!」


 レフェリーの合図があって、勝負が開始された。


「っ!」


 開始早々、一年が突っ込んだ。


「あ?」


 もう勝ちが決まって油断していた二年は、大剣を構えて突っ込んできた一年を見て呆然とし、


「おおぉぉぉぉ!」


 大上段から振り下ろされた一撃の下、場外へと吹っ飛んだ。


「……」


 一年は無言で拳を天に突き上げる。


 ……本来の実力が出し切れず惜しい試合で負ける。そんな悔しいことはねえよ。それが分かってるあいつが、大将を任されていてはらわた煮えくり返ってねえ訳がねえ。


「「「わあああああぁぁぁぁぁぁ!!!」」」


 一年が見せた一撃必殺に、会場に歓声が湧く。


 ……ってか二年の大将、油断しすぎだろ。実戦じゃない上に自分の勝敗はクラスの勝敗に影響しないからって。ほら、お前の担任も呆れてるぞ。クラスメイトもだ。きっとこう思ってるんだろうな。


 だからGクラスなんだよ。


 って。


 きっと強くなるだろうな、Cクラスのヤツら。惜しい戦いで負けて、大将だけはしっかり勝ってみせたんだ。次はもっと強くなって頑張ろうって思ってるだろうぜ。


「……確かに場数が違うようだけど、慣れっていうのも怖いモノね」


 俺の左に座ったアイリアが、試合が終わり途中で俺の言った言葉について返した。


「……あれはさすがに油断しすぎだろ。ってかお前ら緊張して足引っ張んなよ?」


「誰に言ってるのよ。模擬戦なんて山程経験してるわ」


「……ルクス、バカ」


 アイリアとフィナの二人から何を言ってるのかという視線を受ける。他のメンバーからもキツい視線を受けてしまった。


「……ならいいさ」


 俺はニヤリと笑って言うと、第三試合二年AクラスVS一年Sクラスの試合が始まった。

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