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禁気の刃使い  作者: 星長晶人
序章
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アイリアの全力

「……」


 アイリアと冒険者筆頭が対峙して空気が張り詰めていくと、自然と周りを息を飲んだ。


「……嬢ちゃん、噂の魔導、見せてくれよ。嬢ちゃんに負けるのは構わないが、全力を見たい」


 冒険者筆頭が言った。


「……分かりました。私の全力を持って、挑ませていただきます」


 アイリアはそう言って頷く。


「……はぁ!」


 気合いの声と共に、右の白い槍に光、左の黒い槍に闇を纏わせた。それと同時に「おぉ……」と言う感嘆が周りのヤツらから漏れていた。


「……闘鬼、剣気、戦気、破気、衝気!」


 そして気を発動させる。


 ここらで気の説明でもしとくか。


 気ってのは、生物全てに存在する生命エネルギーみたいなもんだ。まあ、使っても寿命は減らないけどな。


 気の用途は強化と波動の二つが主になっている。


 気には通常の気と言う基礎中の基礎でオーラが半透明な白のヤツを基盤として、各方面に特化したような上位の気がある。それにアイリアの言う五つも含まれる。


 まず、闘気。青いオーラで、身体能力強化の効果や武器の性能強化などの強化専門。攻撃にも防御にも使えるバランス型。


 鬼気。赤いオーラで、身体能力の攻撃強化、武器の攻撃強化専門。闘気の攻撃特化バージョン。


 硬気。黄色いオーラで、身体能力の防御特化、防具の防御特化専門。闘気の防御特化バージョン。


 戦気。橙色のオーラで、波動特化。波動で一対多の場合に有利に使える波動専門。


 衝気。緑色のオーラで、衝撃特化。自分の与えた衝撃を倍増させたり、衝撃波を放つことが可能な衝撃専門。


 破気。灰色のオーラで、破壊特化。骨を的確に砕いたり、地面を破砕したり出来る破壊専門。かなり強いが、取得するにはかなりの時間を費やす。


 剣気。白いオーラで、剣などの武器の切れ味を上昇させたり斬撃を放ったり、拳や脚に使うと切れるようになる。


 錬気。水色のオーラで、身体や武器の強度を上げる強度強化特化。武器などの場合製作中に使って強度を高めることがある。


 獣気。茶色いオーラで、獣の本能を呼び覚まし、脚力や腕力が上昇する。


 狂気。桃色のオーラで、奥底に潜む狂気を呼び覚まし、狂気の赴くままに残虐の限りを尽くす。身体能力の上昇。


 魔気。紫のオーラで、魔法の効果を強化する専門。魔術師などは必須。


 仙気。透明なオーラで、ほぼ目に見えない。相手の行動を先読みしたり、気を放出する気孔と言うツボのようなモノが分かる。


 王気。金色のオーラで、王族など王だけが使える。他の気の効果を二倍にする。


 龍気。銀色のオーラで、何故か龍のような凄まじい力が出せる。使い手が少ないため詳細は不明らしい。


 闘鬼は闘気と鬼気を合わせて、相乗効果とやらでさらに強化したモノだ。併用より融合の方が上だ。


 つまり、アイリアは青、赤、橙、灰、緑のオーラを纏っていると言うことだ。


「……」


 魔法や魔導だけじゃなく、気までなかなかの腕前だった。気と気を合わせるのは案外珍しく難しく、きちんと鍛練を積まなければならない。


「……いいぜ。鬼気、闘気、獣気、剣気、狂気、戦気、破気、衝気!」


 融合はないものの、八つの気を併用した。冒険者筆頭もなかなかの気の使い手だ。


 使う強化の差では、アイリアが一歩リードってとこか。気の総合的な差は冒険者筆頭だが、それを覆すのが魔導と言うモノだ。


 さらに、魔力の差もある。冒険者筆頭は見た目も戦士系だが魔力もあまりない。下級の魔法か付与くらいしか出来ないだろう。


「……神槍グングニルに魔槍グングニル。実際に見れるとは思わなかったぜ」


 冒険者筆頭は楽しそうに笑う。戦闘狂の類いらしい。


 神槍グングニルと魔槍グングニル。伝説級の武器にして、槍系武器のトップクラスに位置する一対の槍。お伽噺でも出てくる程有名だが、世界最高峰の山二つの頂上にあると言われている。今まで何人もの挑戦者がいて、たった一人しか辿り着けなかったと言う。


 どうやら、その一人ってのがアイリアらしい。


「……いきます!」


 まず、常人には追えない速度でアイリアが突っ込む。


「おう!」


 冒険者筆頭はそれに応え、大剣を横薙ぎに振るう。


「っ! ……イフリートフレイム!」


 それを神槍で受け流しつつ、魔法を使う。地面に魔方陣が出現し、紅蓮の焔の柱が上がった。


「ぬっ!」


 冒険者筆頭は呻いて火柱を諸に受ける。


「……装気!」


 ……忘れてた。現在確認されている気、もう一つあったな。


 それが装気。全身に薄いベールを纏い、魔法を防ぐ。オーラはクリーム色だ。


 硬気とは違い全身防御で物理的な防御はさほどでもない。


「……」


 装気を使ったことによってまだ無事だと分かり、アイリアは火柱の中の人影に向かって突っ込んだ。


「ふん!」


 火柱の中から大剣を構えた冒険者筆頭が出てきて、突っ込んできたアイリアに斬りかかる。


「……はっ!」


 それを神槍で弾き、魔槍で追撃する。


「っ!?」


 大の男が両手で持っている大剣が少女の華奢な片手で持っている槍に弾かれたことに冒険者筆頭が驚く。


 ……冷静に考えれば、そう驚くことじゃない。


 総合的にアイリアの強化が勝っていて、アイリアの槍の方がいい武器で、魔導を使っているから片手でも弾けるってだけなんだが。いくら強くても、華奢で可愛い見かけで判断しそうになる。……アイリアの場合、見かけも強そうな気がするのは俺だけだろうか?


「はぁ!」


 アイリアはさらに速度を上げ、槍を叩き込んでいく。


「くっ……!」


 冒険者筆頭はそれに応戦するが、防戦を強いられていた。


 程なくして大剣が宙を舞い、冒険者筆頭の喉元に槍の切っ先が突きつけられる。


「……参った。こりゃ強いな」


 冒険者筆頭は苦笑して両手を挙げる。


 ……理論で失敗しても、SSSクラスは確実ってとこだな。


 結局、アイリアは最強の一人だった。

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