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禁気の刃使い  作者: 星長晶人
第二章
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新授業

中途半端な時間ですが、調子に乗って書いてたら十話分、この章が終わるまで書いていたので更新します


本日一話目

 ……ふぅ。


 今日もセフィア先輩は早朝鍛練に来なかった。


 俺は少し憂鬱な気分になりながら教室に向かって歩いていた。


 その途中、遅刻ギリギリなのでちょこちょこ歩いているアリエス教師を見つけた。


 ……いいこと思いついたっ。


 俺はニヤリと笑う。……傍から見たら悪戯を思いついたような子供の笑みだと言われるかもしれない。


「アリエス教師」


「ん? ……ルクス、お前、遅刻寸前だぞ。私に話しかけるより教室に駆け込む方がいいだろう」


 アリエス教師は振り返ると、呆れた顔で俺を見た。


「……そう言わずに俺の話を聞いてくれよ。俺、いい授業を思いついたんだよ」


 俺はニヤリと笑ったまま、怪訝そうな顔をするアリエス教師に、その授業内容と目的を話した。


 ▼△▼△▼△▼△


「今日は、特別授業を行う」


 アリエス教師は一時限目、座学の授業開始早々、そんなことを言い出した。


「授業の発案者はルクスだ。ルクス、説明しろ」


 アリエス教師が言って教卓の後ろを譲る。


 俺が発案したと聞いて、教室がざわついた。


「……」


 俺は何故か最近距離を置いている気がするフィナが抱き着いていないので、楽に席を立ち黒板に向かって歩く。


「……えーっとだな。先日の俺の決闘あったのは知ってるヤツも多いと思うが、その時思いついた授業だ」


 それを聞いたクラスメイトがさらにざわつく。あからさまに睨みつけている。……アイリアとリーフィスと他数人な。フィナはそっぽ向いて拗ねているっぽい。


 ……何でだかはよく知らないけどな。


「授業っつっても、身体で覚えるもんだ。遊びに近いかもな。要は、かくれんぼだ」


 俺は笑って説明をする。


「フィールドは鍛練場の奥にあるサバイバル演習場の森林がいいと思う。鬼は二人、俺ともう一人いれば適任だろうな」


 俺はかくれんぼと聞いて怪訝そうな顔をするクラスメイトに説明を続ける。


「時間は最初だし無制限でいいだろ。どうせすぐに捕まるからな」


 俺は挑発するようにニヤリと笑う。


「「「……」」」


 クラスメイトは俺の挑発にカチンときたようで、俺を睨んでくる。


「……分かってなさそうだから言うぜ? このかくれんぼ、最初は俺が勝つって決まってる。何故なら、このかくれんぼ、気を感知すれば一発で場所が分かるからだ」


 俺はニヤリと笑ったまま、告げた。


 この宣言によりかくれんぼの意図が分かったらしいのが数人、納得の表情をする。


「もう一人は魔力に富んだヤツがいいな。俺、ある程度魔力を抑えられたら感知出来ないし。分かったな? このかくれんぼの目的はズバリ、気と魔力を抑えることと、気と魔力を感知することだ。抑える方は隠れるため、感知する方は鬼の位置を把握するためだ」


「「「っ!」」」


 目的を明かし、クラスに衝撃が走る。


「……そういうことだ。魔力は確かにメジャーなモノだが、気に油断していると痛い目を見る、ということはこのルクスから学んだだろう。この授業が上手くいけばこれ以降も度々取り入れ、授業として正式に認定する気だ。要するにお前達は実験体だな。ルールは数秒の時間差で鬼二人が他を追う。見つかっても武力行使で逃げれば問題ない。捕らえられたら負け。分かったな? 全員レイヴィスに着替えてサバイバル演習場前に集合だ!」


 アリエス教師がそう言うと、クラスメイト達は表情を引き締めた。女子は更衣室へと向かい、男子は女子が教室から出るのを待って着替え始める。


「……よくこんな授業を思い付いたな。感知と隠蔽、両方の鍛練が促進されるいい授業だ。もし今回すぐ全員捕まったら、悔しくて頑張るだろうな」


 自分の席に戻った俺に、チェイグが感心したように言った。


「……褒めるなよ、チェイグ。大体、前提が間違ってるぞ。俺が鬼になった時点で、これはかくれんぼじゃなくて鬼ごっこだ。俺に気の感知で勝てるヤツはいねえ。俺には魔力がないから魔力は感知出来ないし、気の隠蔽も完璧だ。少なくとも、お前らに見つかる程じゃねえ。だからいかに静かに速く俺から離れ、そして足止めし倒すかが勝利への一歩となる」


「……倒すって、そういう目的じゃないだろ」


「いや。アリエス教師は武力行使を認めた。だから俺を足止めすれば時間は稼げるし、鬼を倒しちゃいけないなんていうルールはない。ま、俺を倒すのに気でも魔法でも使えば、もう一人の見つかって終わりだけどな」


「それが攻略法だって言うのか?」


「さあな。だが、俺ともう一人に正面から挑んで敵うヤツなんてそうそういない。隠れた方が身のためかもしれないぜ?」


 すでにもう一人についてはアリエス教師と相談して決めているので、俺は意味深にニヤリと笑う。


「……自分で考えろってことか」


 チェイグはそんな俺を見て苦笑した。


 聞き耳を立てていたクラスメイトの男子も、話しながら着替えを進めていた俺達も、着替えが完了した。


「……ああ。それと、視認って言葉もあるが、目で見るモノが全てじゃないんだぜ。ちゃんと感知を鍛えないと、罠に嵌まることになる」


 俺はついでにこれから使う作戦の一部のヒントを与える。……場所が場所だからな。俺じゃなくてもいい使い方をするヤツはいるだろうが、見物だ。


 俺は少しワクワクしながら、サバイバル演習場前に足を運んだ。

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