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第一話 標的は総理大臣 その5

「総理っ! 日本経済の復興に関しての法案についてですが!?」

「近頃の行政はますます官僚的との意見が国民から出ていますが!?」

「『先日の米軍のスクランブルで撮影された"空飛ぶ少年と少女"の内、少年の方は日本人のようだった』と、あちらの幕僚が述べたとされていますが、それに対してのコメントは!?」

 

 多くの記者団が首相、白神亜梨沙の元へと集まっていきます。……日本人だったってバレてたんですね……。


「僕達もすっかり有名人だね」

「勘弁して下さい」

 


「私の考えとしましては――」


 首相は凛とした表情で明快に、記者団の問いに答えていきます。確かに、あんな麗人がこの国を引っ張ていると聞けば、支持率八〇%も頷けます。



 始さんは正門の横で腕を組みながらその光景を眺めています。もしかしたら何か深いことを考えているのかもと思いましたが、呟きから聞こえるのは「消費税は五〇%。納入先は全て僕。日本中のかわいい女の子は誘拐。彼女達の行き先は全て官邸。日本国憲法は全改正。第九条は即撤廃」などと、ぶつぶつと危険思想がだだ漏れしているだけでした。


「おい、カルラ。官邸に向かったみたいだぞ!」


「行きましょう!」




 内閣総理大臣官邸。

 この国で"官邸"と呼ばれる場所は、日本中で此処しか無いそうです。屋上にはヘリポートも存在し、隣には公邸があります。

 警視庁から出向して来た警備の人間も沢山居ますし、首相の周りは黒服のSPでいっぱいです。


「で? どうやってここを突破しようっていうんですか?」


「あれだよ。この間平壌(ピョンヤン)でぶっ放した超指向性ビーム兵器あったじゃん。あれにしよう」


「仕方ありませんねぇ」


 肩にぶら下げていた白いポーチ。これは、宇宙連邦とアルヴァギアス星が共同開発した試験用の収納器、十一次元ポシェットです。この中には地球のテクノロジーを遥かに超える超常的なアイテム郡、宇宙道具が数多く入っています。


「えーと、あれじゃない、これじゃない……あった! じゃーんっ!『暗黒宇宙的超荷電粒子砲』!! 物体に対しては大規模な破壊力を持ちますが、人体に当たった場合は突然、空飛ぶスパゲッティ・モンスター教に入信したくなるだけなので、小さいお子様でも安心してテロリストごっこが出来る優れもの! わたしの故郷でも乳幼児達がままごとで連邦の宇宙ステーションに穴を開けて惑星間危機に陥りましたが、人体にはまったく影響はありませんでした!」


「この間も思ったんだけど、響きがどっかの国が作った安物みたいで大丈夫なのかい?」


「なっ!? 失礼ですね! これは我が惑星が誇る最高の対物兵器です。あんなパチモンの、『めいどいんなんとか』と一緒にしないで下さい!!」



 先程首相を乗せた車が入っていった扉には、黄色灯とサイレン装置が設置されていました。その前には警備の人間が数人並んでおり、正面突破は難しそうです。


「取り敢えず、あの警備の人たちを全員狙ってから突入しよう。どうせ裏手も警備が厚いんだから、正面からでも同じさ。僕がやるよ」


「分かりました。うまくやってくださいよ」



「――標準合わせ。まずは門の右にいるあの人をスパ教信者にしてやるよ!」


 ばきゅーん、と音がする……と思っていましたが……。



 建築物の一部が爆砕したかのような轟音が鳴り響き、官邸の一部は粉みじんに吹き飛びました。あえて言うなら「どかばきぐしゃあ」とでも言いましょうか。



「Hurray for Flying Spaghetti Monster!!」


「パスタファリアニズムに栄光あれ!!」


「ラーメン!!」


ラーメン!!、と合唱が続きます。


「いつも思いますが、どうしてパスタなのに掛け声が"ラーメン"なのでしょう?」

「それはキリスト教の"アーメン"と掛けているのさ」


 と、いうやり取りも一瞬。



「出力間違えたーーーーー!!!」


「何やってるんですかあーーーーーっ!!」

 


 警官や警備員が狂ったように叫ぶスパ教の賛美を聞きながら、わたしは呆然とゲート前で棒立ちすることしか出来ませんでした。




「大丈夫。僕にはいい考えがある」


 やはりただの小学生ではありません。きっと、この状況を打破出来る、凄い考えがあるのかも……!



「ホントですか!?」











「ああ、連射すればその内首相も見つかるさ。邪魔な壁はどんどん破壊していこう」












「結局力技かよ!!」



 何はともあれ、目指す先は総理大臣執務室です。




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