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にゅにゅにゅ  作者: 社容尊悟
零 零から始まる呪術入門
9/80

言葉の壁ですれ違う二人

「女はちょっとぐらいバカな方が、可愛げあんだよ……。実際、お前……」

 とちょっと言い淀んで、筧はぼそりと呟いた。

「か、可愛いし……」

 斜め下を向いて、私を褒めた。おおう……。新鮮な反応だ……。

「……あ、ありがとう……」

 私も俯いて、照れてしまう。だって、男子にそう言われたのは初めてだから。

 何度か可愛いと言われたことはあるけど、それは全員女子だから。男の子ってあんまり褒めないもん。さっきの兎の子は例外。

 だからそんなこと言われてしまったら、どう対処すればいいのかわからない。

 なので、私も褒め返すことにする。

「か、筧もかっこいいよ……」

「……」

 二人して照れてしまった。なに、この……初々しいカップルみたいな空気!

 まだ付き合ってもいないのに、何故こんなピンク色なムードになっているの。舞台は廃校舎だよ? 最悪のシチュエーションだよ? ムードなしだよ? 私が選んだ場所だけど。

 筧が二歩下がる。九十度にお辞儀して、手を差し出してきた。

「閑麗香さん。俺と突き合ってください」

「え……」

 この場所で、まさか告白すると思わなかった。

 これでもし手を取ったら、イエスという意味で取られるよね。でも今ここで断ったら、明日からどんな顔して会えばいいか……。元々そんなに仲良くはなかったし、別に付き合いたいと思っているわけでもないし……。うーん、どうしたらいいの……?

 これってずっとこの状態だと、しんどいよね……?

 私は頭を下げて、謝った。

「ごめんなさい!」

「マジかよー」

 筧は頭を上げて、残念そうに深いため息をついた。

「絶対イケると思ったのに。あーあ……」

「……なに、その言い方……。まるで本気じゃないみたいに」

 私は筧がそんな人間だとは思いたくなかった。けど、なんだか恐ろしい。

 よくわからない。でもなにかを感じる。言葉にできないけど……空気が違う。

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