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にゅにゅにゅ  作者: 社容尊悟
零 零から始まる呪術入門
8/80

告白

「え……、な、なんで……そう思ったの?」

「や、なんかさ。今日のお前、変だったし」

「そう? 私は別にふつう……」

「はぐらかすなよ。目が泳いでるぞ」

 うっ……。ごまかせない……。

 他の誰も立ち入らない廃校舎に場所を変えて、私は打ち明けることにした。

 廃校舎は新校舎の隣にある。取り壊されずに残っていて、でも雰囲気は不気味だし、かび臭い。できれば行きたくないところだけど、新校舎の屋上は生徒立ち入り禁止で誰もいない場所といったら、ここしかない。

 ちなみに、ここは生徒たちの遊び場にされているらしい。廸が言っていた。

 新校舎のぴかぴかしたトイレに比べたら、廃校舎のトイレはおんぼろ。汚くて臭い。誰も立ち寄らないし、ここなら他の生徒にも聞かれずにすむ。

 刈られずに生やしっぱなしにされている雑草やつたを見ながら、私は筧に話しかける。

「筧は……私とはそんなに仲良くないよね。なんでそんなこと、聞きたがるの?」

「俺も見えるから」

「……見える?」

「見えるっていうか、視える?」

 何故か言い直している。私は目を細めて、筧を見つめて訊く。

「なんのことだかわからないけど……、私と同類だって言いたいの?」

「ま、そうだな……」

 筧は空を見上げて頭をかいた。

 そういうことだったか。でも何故あんなに怖い顔をしていたの? ふつう、嬉しいと思うはずだよね? なんであんなに喧嘩腰だったのだろう。

「なんつーか……俺と一緒のヤツがいて、嬉しいっつーか……そんで、話したいって思って」

「怒ってなかったの? あの顔で?」

「……んだよ。悪いかよ。生まれつきなんだよ、この顔は」

「……ふーん……」

 たいして仲良くなかったクラスメイトだ。事情を知らないわけだよね。

 こういう話をすると、男子って照れ臭そうに怒る。ほんとに恥ずかしいのかな。

「閑。お前……こういう男、好きか?」

「え? なんで今そんなこと聞くの? まるで私に気があるような言い方だけど」

「あるよ」

 きっぱりと言い切った。私は信じられないで、矢継ぎ早にまくし立てる。

「ええ? うそ。なにそれ。私とあんまり話したことないのに。私のこと好きになる要素ないよね? しかも筧頭いいのに! 私みたいなバカな子は……嫌いじゃないの? い、色気もないし……小さくてこどもっぽいし」

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