告白
「え……、な、なんで……そう思ったの?」
「や、なんかさ。今日のお前、変だったし」
「そう? 私は別にふつう……」
「はぐらかすなよ。目が泳いでるぞ」
うっ……。ごまかせない……。
他の誰も立ち入らない廃校舎に場所を変えて、私は打ち明けることにした。
廃校舎は新校舎の隣にある。取り壊されずに残っていて、でも雰囲気は不気味だし、かび臭い。できれば行きたくないところだけど、新校舎の屋上は生徒立ち入り禁止で誰もいない場所といったら、ここしかない。
ちなみに、ここは生徒たちの遊び場にされているらしい。廸が言っていた。
新校舎のぴかぴかしたトイレに比べたら、廃校舎のトイレはおんぼろ。汚くて臭い。誰も立ち寄らないし、ここなら他の生徒にも聞かれずにすむ。
刈られずに生やしっぱなしにされている雑草やつたを見ながら、私は筧に話しかける。
「筧は……私とはそんなに仲良くないよね。なんでそんなこと、聞きたがるの?」
「俺も見えるから」
「……見える?」
「見えるっていうか、視える?」
何故か言い直している。私は目を細めて、筧を見つめて訊く。
「なんのことだかわからないけど……、私と同類だって言いたいの?」
「ま、そうだな……」
筧は空を見上げて頭をかいた。
そういうことだったか。でも何故あんなに怖い顔をしていたの? ふつう、嬉しいと思うはずだよね? なんであんなに喧嘩腰だったのだろう。
「なんつーか……俺と一緒のヤツがいて、嬉しいっつーか……そんで、話したいって思って」
「怒ってなかったの? あの顔で?」
「……んだよ。悪いかよ。生まれつきなんだよ、この顔は」
「……ふーん……」
たいして仲良くなかったクラスメイトだ。事情を知らないわけだよね。
こういう話をすると、男子って照れ臭そうに怒る。ほんとに恥ずかしいのかな。
「閑。お前……こういう男、好きか?」
「え? なんで今そんなこと聞くの? まるで私に気があるような言い方だけど」
「あるよ」
きっぱりと言い切った。私は信じられないで、矢継ぎ早にまくし立てる。
「ええ? うそ。なにそれ。私とあんまり話したことないのに。私のこと好きになる要素ないよね? しかも筧頭いいのに! 私みたいなバカな子は……嫌いじゃないの? い、色気もないし……小さくてこどもっぽいし」