にゅにゅにゅの力
「男の人よりも優しい……」
喘ぐような声で、ここなちゃんは呟いた。
「えっ、え。あの、ごめ、ごめんなさい」
「いいよ。もっと触っても」
ここなちゃんの胸に埋もれて、窒息しかける。でかすぎて息ができない。
なにを言わせたんだ、私は!
「むーむー」
私がここなちゃんのたわわな胸に苦しんでいる時に、廸たちは話を続けていた。
「にゅにゅにゅの話をしよっか」
――待っていたわ。
半分、自分たちの無駄話のせいで話が進まなかったと思うけど。
「にゅにゅにゅはさっきも言った通り、思念体みたいなものでね」
――その、思念体というのは、僕みたいな霊体のこと?
「ううん。違う」
――どういうものなの。詳しく聞かせなさい。
「この世に存在するもので、人の心に強く反応する。にゅにゅにゅが取りついた人間は摩訶不思議な力を得て、超人的な力を発揮するようになる。急に能力を身に付けた人とか、成長が著しい人はにゅにゅにゅに取りつかれた人間。ふつうはすぐに効果が出ないけど、にゅにゅにゅを内に秘める人は、とんでもない力を持ってる。麗香も、多分これからの呪術の完成度が高まると思う。……っていうのが、あたしが知ってる話かな。人から聞いたものだけどね」
――なるほど……。ということは、麗香はもっと鈍く成長していたはずなのね。特訓の成果がすぐに出たのも、にゅにゅにゅのおかげかしら。
「っぷはあ! はあはあ……」
――そんな汗だくな顔で荒く息をつかないで。ナニを想像しちゃうじゃないの。
「はあはあはあ……」
また一夜のやらしい突っ込みが始まった。でも、今回ばかりはギブアップ。ここなちゃんの大きな胸に挟まれて疲れた。気持ちよくて眠ってしまいそうだったけど。
「ごくり……。……えーと、どこまで話したっけ」
「にゅにゅにゅに取りつかれた人間の話までだね」
「そうそう。そうだった……。つい麗香のアレを想像しちゃって……」
二人して変態的なことを言い出す。二人だけかと思えば、筧まで顔を真っ赤にしているし。ピュアなハートを持っているのは、やっくんだけなの?
みんな心が汚れているの?