衝撃の事実
――懐かしいわ。男だった頃が蘇ってくるようで……。
「おおお男ぉ!?」
私が叫んだ瞬間、兎の子は顔を近付けて私の唇を塞いだ。
甘美で、私の全てを支配して包み込むようなキス。しかもやたらと長い。
なんで……こんな小さいのに、キスがうまいの……?
生気を吸い取られたみたい……。くらっとしてきた。
――僕、こんな姿でこんな喋り方になってしまったけど、元は男で二十代後半なのよ。三大欲求は性欲が九割を占めているに決まっているじゃない。これは呪いだから、オカマとか言わないで欲しいわね。それにしても、君の胸、小さいのに柔らかいわね。ちょっと、脱いでみてくれない? 下着はどんな下着? ああ、僕はブラジャーの方を訊いているのよ。
兎の子の顔を私はポカポカと殴った。兎の子は顔を押さえた。
「……ちちち……痴漢! 変態! バカッ! 女の子だと思ってた私がバカだった!」
――誰も女の子だなんて言ってないわよ。
私の身体を存分に弄ぶ。今度は制服の下に手を入れてきた。私は兎の子の手をはたく。
「あーもう触るなっ! えっち!」
私が怒っても、兎の子は冷静さを保ったまま。
――だって、君可愛いし、エロいから。
「……う……」
私が言葉に詰まると、むぎゅーと抱きついてきて、私の身体に頬をすりすりさせる。
どうあがいたって、敵いっこない……。元男性の欲情に中学生は勝てない……。
「も、もういい……。……と、ところで呪いはどうなったの……?」
――観念してくれてありがとう。周りを見て。
私が周りを見渡していると、ここぞとばかりに兎の子が私の太腿を触り出す。手付きがいやらしい。慣れている感じで、物凄くいや……。ぞくっと怖気が走った。もうやめてー!
「もう! さっきから! 私が真面目に話してるのに!」
みんなに白い目で見られるのも構わず、私は兎の子に怒鳴った。
――ごめんなさい。君を見ていると、どうしても抑えられなくて……。その、脅えた表情が凄くそそるから……。困った顔を見ていたら、いじめたくなってしまって。あの夜、本当は襲いたかったけど、我慢していたのよ?
そんな言い訳は聞いていない。
「中学生に手を出したら、犯罪なんだから」
私はぶすっとすねて、兎の子のほっぺたをぎゅっとつまんだ。
――でも。みんなはもう怒っていないでしょう?
「それはそう……だけど……」