一夜はボディガード?
一夜は教師だっただけあって、話し出すと止まらない。本当に、人に教えるのが大好きなのだろう。私は説明するのとか苦手だから、教師になりたいとは思わないけど。
でも、人に教えられるのって、カッコいいよね。
私もいつか、色々な人に憧れられる、素敵なキャリアウーマンになれるかなあ。
そうして、道すがら私は夢を抱く。叶えたい夢が一つできた。
道端に転がっている石ころを蹴って、学校まで行った。これも特訓。途中に廸には会わなかった。一夜は会わなくて正解だったと言っていたけど。
会いたいわけじゃない。
でも、昨日のあれはやりすぎたかなと、ちょっと後悔している。だから、ちゃんと向き合って、二人で話をしたいの。一夜はいやでもついてくるから、二人とは言えないか……。
――僕について来て欲しくないの?
「そりゃ……まあ……」
――僕は君のボディガードなのよ。
見えないボディガードって、凄くない? 無敵だよね。
――君が変な人に好かれないか、見張っておかないといけない。僕の目が黒いうちは、変な虫は寄りつかせないわ。全て叩き落としてやる。
蠅ですか。
――とにかく、君がいやだと言ったところで、僕は監視しておくからね。昨日みたいに呪術師がいきなり目を付けてきたらどうするの。今の君では太刀打ちできないでしょう? 僕がいないと、君はなにもできないじゃないの。
その言い方、ムカつく。
「そんなことないもん。別に一夜がいなくったって……。私一人でどうにかできるし。大丈夫だもん」
ムキになって、余計なことを言ってしまった……。
――あら、そう。いいのね。じゃあ、今日一日……僕は君のベッドで妄想しているわよ。おやすみ、麗香。
「やめれぃ!」
一夜の頭を掴んだ。
その後、他の人に言い訳するのが、凄く大変だった。想像を絶する視線の痛さ。