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にゅにゅにゅ  作者: 社容尊悟
二 麗しい香り

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麗香の憧れ

「歳いったらなあ、やることがなくなってくるから、今のうちにたくさんやっておくんだぞ。義務的なことがなくなるだけで、趣味は満喫できるがな。お前たち子供は趣味以外のこともしておかんとな」

 お父さんはそんなことをうそぶいた。

「……趣味以外のことって?」

「勉強とか、家事とか、礼儀とか? 子供の間に身に付けておかないといけないわよ」

 う……。また勉強か……。大人って大変なんだなあ……。

「そういうお母さんたちは身に付いてるの?」

「身に付いてるから結婚もできて、仕事もしているのよ?」

「そ、そうですか……」

 論破されてしまった。まことに正しいです。

「ということは、身に付いてなかったら結婚もできなくて、仕事もできないの?」

「そうでもないわよ。身に付いてなかったら、身に付けられるように会社がなんとかしてくれたからね。礼儀を知らなくても、その人が欲しいと思ったら、きちんと教育してくれるのよ。お母さんの時代は、そういう時代だったわ」

 今の時代はどうかわからない……ということか。

「今は就職難みたいだけど、麗香はやればできる子だから。ちゃんと仕事先見つかるわよ。見つからなくても、自分を責めないでいいの。悪いのは自分でも、企業でもない。誰も悪くないのよ。相性が合わなかっただけ、そう思っておきなさい」

 お母さんはありがたい言葉を言ってくれた。

「うん」

「……麗香にはまだ早いけれど、早い、早いって言っているうちに、就活は始まってしまう。これだけ覚えておくといいわ。あなたの魅力は誰かが見つけてくれるのよ。魅力がない人間なんて、いないものね。麗香はとっても魅力的よ」

 ニコッと微笑みかけてくれた。お母さんが結婚できた理由が、なんとなくだけどわかった気がする。なんて優しい人なのだろう。美人だし、非の打ちどころがない。

「ありがとう、お母さん。お母さんはいつまでもそのままでいてね」

「それはできないわね。あっという間にしわしわのおばあちゃんになってしまうわ」

 お母さんはおばあさんになっても、きっと美しい女性だと思うけどな。

 私、やっぱりお母さんみたいな人になりたい。いつまでも、私の憧れ。

「そうなっても、お母さんのこと、好きでいてね」

「うん」

「病気や怪我で苦しんでいたら、助けてね」

「わかった」

「頼りにしてるからね」

 お母さんは物悲しそうに笑う。どうして、今そんなことを言うのだろう。私は不思議に思いつつも、訊かなかった。なんでも訊けばいいってもんじゃないし。

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