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にゅにゅにゅ  作者: 社容尊悟
一 一つの夜

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45/80

恋は人を豹変させる

「何が?」

「あのこと……」

「待ってるって言ったのに!」

「こらこら。喧嘩しなさんな」

 クレープ屋のおじさんが止めに入る。他のお客さんの相手はしなくていいの?

「そんなに知りたかったら、今教えてあげるから」

「え……そ、それはちょっと」

 廸は顔を引きつらせて、周りを見ている。

 大勢の前で恥をかくのは、廸だっていやだよね。私が恥をかいていたこと、廸はわかっていたのかな。自分が恥ずかしくなければ、相手はどうだっていいって思うのは、単なるわがままなんだよ。自分勝手なんだから。

 ここのところ廸が焦りすぎている気がするし。暫く、距離を置いてくれた方が助かる。なので、私は宣言した。仕返しをしたいわけじゃない。

「廸のことは友達だと思ってるから。今度変なことしたら、ただじゃおかないからね。暫く私のことは放っておいて。じゃないと、嫌いになっちゃう」

 ちょっときつめに言って、突き放しておいて……。

「帰る」

 クレープ屋のおじさんにお金を払って、クレープ屋を後にする。

 おじさんはお金はいらないと言っていたけど、空気を悪くしたから。お詫びみたいなものだから受け取ってもらった。強引に渡したと言った方が正しいかも。

 ま、あのくらいやらないと、廸はまた調子に乗るかもしれないし。ちょっと言いすぎたかもだけど、心配いらないよね。

 ――麗香。男を甘く見ちゃダメよ。

「甘く見てないって」


 ――恋はね、人を豹変させるのよ。男女どちらとも、ね。

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