ぶつかり合えば答えは見えてくる
私は放課後、廸を体育館裏に呼び出した。部活中の生徒の声が聞こえる。
一夜が見守ってくれている。勇気を振り絞って、問い質す。
「ねえ、廸」
「うん。なに」
「どうして私に性別のこと、話したの? あのタイミングで」
「ああ……。ちょっと間が悪かったかな?」
「ていうか、おかしいと思う。なんで先生たち、廸に何も言わないの? なにも説明してくれなかったし、今まで気付かなかったし……」
「それは、あたしがアレだから」
頬をかいて、廸は苦笑した。
「あれって……?」
「聞いたことない? 性同一性なんとかってやつ。あたし、それなんだよ。だから……女になりたいと思った。同様に、男になりたいと思ってる女もいるわけ」
聞き覚えなら、少しはある。でも私には理解できない。女の子に生まれてよかったと思うから。だって、男の子だったら色々できないと余計に恥ずかしいし。
廸は声色に憧れを滲ませて、とつとつと話す。
「女の子が好きなものが好きでね。ぬいぐるみとか小物とか……おしゃれとか。服も女物の方が好き。女の子同士で抱き合ってるのもいいなと思ってた。だから、学校には特別に許してもらってる。そういう受け入れをしてくれるところなんだよ、ここは」
感謝している、と廸は言った。
そういう人もいるのか……というのが私の素直な感想。
「麗香は、あたしが嫌いになった? あたしが麗香のことが大好きで抱き付いてるのを、気持ち悪く思った?」
「正直に言えば……」
こくりと頷いた。
「でも嫌いになったわけじゃないよ」
目を見て、確と伝える。ぎゅと拳を握って、廸に宣言する。
「廸のことは好き。私を性的な目でしか見ていない誰かさんよりもずっと。ただ、怒りがないと言えば嘘になる」
――誰かさんって、一体誰のことかしらね。
「今までずっと黙っていたのもそう。突然言い出したのもそう。私、そんなに心広くないから、凄く怒ったよ。廸は悪い子だよね」
ぶうと頬を膨らませて、怒りを露わにした。
「ぷ……」
「あ! 今笑った!」
「麗香はホント、可愛いよね……」
廸が男みたいな微笑を浮かべて、ちょっとドキッとした。悪い意味で。
「ちっさい子と話してるみたい。天然というか、おばかというか」
「もー! 自分が成績いいからって、バカはないでしょ、バカは! 誰かさんにいっぱい言われて、もう聞き飽きたんだから!」
――耳が痛いわね。




