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にゅにゅにゅ  作者: 社容尊悟
零 零から始まる呪術入門
3/80

選ばれた麗香


 ――落ち着いて。

 私の膝の上に兎の子が飛び乗ってきた。風がヒューヒューと吹いている。窓から入ってきたのだろう。もう驚きはしない。でも、なんだか……ホッとした。

「君は……あの時の……」

 ――話は後よ。閑麗香ひまれいか

「どうして私の名前を……」

 ――ごめんなさい。君の特異体質に気付かなくて。でも正解だったわ。君を選んで。君はにゅにゅにゅの対抗者なのよ。

 兎の子は兎の耳をしな垂れさせて、私に謝った。なんの話をしているのだろう。

「にゅ、にゅにゅにゅ?」

 ――さあ選んで。……もしも、目の前で困っている人がいたら、君は助ける? それとも、見て見ぬふりをする?

 あの時はなにがなんだかわからなかったけれど、今は違う。

 はっきりと答える。私は――、

「助ける!!」

 ――よく言ったわ。

 兎の子はにっこりと微笑んで、私の膝の上からジャンプする。

 空中で一回転した兎の子は、バッと手を広げて懐中時計を掲げた。絵本で読んだことのあるような兎に、よく似ている。役割はちょっと違うのかな?

 兎の子が目を閉じて、英語かどこかの言語で呟くと、空気が変わった。みんなの動きが止まった。時計を持っていたし、時を司る系の能力……? いきなりファンタジックな。

「ど、どういうこと?」

 理解が追いつかない。私のたいしたことのない頭じゃ、理解できない。

 兎の子が再度私の膝の上に飛び乗った。私と兎の子だけは動けるみたい。

「説明してくれないとわからないよ」

 ――少しは自分の頭で考えてみたらどう?

「バカなんです!」

 半ば投げ槍に言い返す。すると、兎の子はハァとため息をついて教えてくれた。

 ――いい? これから僕の言うことをよく聴いておくのよ。

「僕?」

 ――僕が僕と言って何が悪いのよ。唯一のアイデンティティなのよ?

 兎の子はムッとして頬を膨らませた。いちいち可愛い。もふもふしたい。

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