受け入れられない事実
――れっきとした、男よ。ちゃんとついているわ。
私の方に振り向いて、衝撃の事実を告げた。知りたく、なかった……。
廸が……女友達だと思っていた廸が、男だったなんて……。
「どうしたの、麗香?」
そうすると、ですよ。
今まで廸は女のふりをして、女の格好をして、女の喋り方をしていたということになる。
つまり……要するに、彼女は彼であり、男である。
女同士の友情など、最初から存在していなかったのだ。沸々と湧き上がってくる怒りを、私は抑えるのに必死で、小さく突き放す言葉を放った。
「……暫く、話しかけないで……」
「え。う、うん。わかった。ごめん」
私の気持ちを察していないのか、廸は軽い調子で言って席に戻った。
――……気付いていなかったの。
「……」
――そんなにショックだった?
「……」
――なんとか言ったらどうなの。黙っていては、わかるものもわからないわ。
「……だって」
――男だったからといって、後がどうなるわけでもないじゃない。別に女同士にこだわる必要なんてないわ。些末なこと。矮小なことよ。男と女の友情だってあるもの。君と僕にも友情が芽生えているでしょう? 僕には劣情もあるけれど。
何故にちょっといいことを言いつつ、余計なことも言うのか。
「もっともらしいこと言ったって……、受け入れられないよ」
――そう。麗香がそう言うのなら、もう付き合うのはやめなさい。けれど、一つだけ忠告しておくわね。
……相変わらずえらそうだ。
――友達は一生ものよ。親友なら尚のこと、大事にしないといけないわ。簡単に手放せるような仲なんて、最初からたいしたことなかったのよ。見た目が変わった、中身が変わった、それがなんだって言うの? そんな上辺だけのことしか見られないようでは、一生大事な人ができなくなるわよ。できたとしても、また失ってしまうわ。
一夜の言葉が、私の心を揺さぶる。
廸は親友だ。でも、女の子だと思っていたのに、男だとわかって、どうしたらいいの?
突然あんなことを吐き出されて、どう接したらいいのかわからなくて。
一夜なら、私よりもうまく立ち回れただろう。
――悩んで、苦しんで出した結果は、かけがえのない宝を生み出すのよ。
そして、午後の授業が始まった。




