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にゅにゅにゅ  作者: 社容尊悟
一 一つの夜

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29/80

受け入れられない事実


 ――れっきとした、男よ。ちゃんとついているわ。

 私の方に振り向いて、衝撃の事実を告げた。知りたく、なかった……。

 廸が……女友達だと思っていた廸が、男だったなんて……。

「どうしたの、麗香?」

 そうすると、ですよ。

 今まで廸は女のふりをして、女の格好をして、女の喋り方をしていたということになる。

 つまり……要するに、彼女は彼であり、男である。

 女同士の友情など、最初から存在していなかったのだ。沸々と湧き上がってくる怒りを、私は抑えるのに必死で、小さく突き放す言葉を放った。

「……暫く、話しかけないで……」

「え。う、うん。わかった。ごめん」

 私の気持ちを察していないのか、廸は軽い調子で言って席に戻った。

 ――……気付いていなかったの。

「……」

 ――そんなにショックだった?

「……」

 ――なんとか言ったらどうなの。黙っていては、わかるものもわからないわ。

「……だって」

 ――男だったからといって、後がどうなるわけでもないじゃない。別に女同士にこだわる必要なんてないわ。些末なこと。矮小なことよ。男と女の友情だってあるもの。君と僕にも友情が芽生えているでしょう? 僕には劣情もあるけれど。

 何故にちょっといいことを言いつつ、余計なことも言うのか。

「もっともらしいこと言ったって……、受け入れられないよ」

 ――そう。麗香がそう言うのなら、もう付き合うのはやめなさい。けれど、一つだけ忠告しておくわね。

 ……相変わらずえらそうだ。

 ――友達は一生ものよ。親友なら尚のこと、大事にしないといけないわ。簡単に手放せるような仲なんて、最初からたいしたことなかったのよ。見た目が変わった、中身が変わった、それがなんだって言うの? そんな上辺だけのことしか見られないようでは、一生大事な人ができなくなるわよ。できたとしても、また失ってしまうわ。

 一夜の言葉が、私の心を揺さぶる。

 廸は親友だ。でも、女の子だと思っていたのに、男だとわかって、どうしたらいいの?

 突然あんなことを吐き出されて、どう接したらいいのかわからなくて。

 一夜なら、私よりもうまく立ち回れただろう。

 ――悩んで、苦しんで出した結果は、かけがえのない宝を生み出すのよ。

 そして、午後の授業が始まった。

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