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にゅにゅにゅ  作者: 社容尊悟
一 一つの夜
27/80

ロマンチックな名前

 嘘をつくのは好きではない。でも、みんなのためにつく嘘ならば、ついてもバチは当たらないよね……? 私の平和で平々凡々な日常は、もう終わってしまったから。

 一夜が来てから、ずっと特訓の毎日。にゅにゅにゅの呪いも度々起きている。

 廸がいつ何時ターゲットにされるか、わからない。

 みんなを守るには、教えちゃいけない、知られちゃいけないんだ……!

「うん……約束する」

 私は人差し指を差し出す。一夜は頷いて、指切りをしてくれた。

 ――それでこそ、僕が見込んだ子だわ。

「もう……」

 たまに褒める。真剣な目で。なんでしょうかね。私を落とそうとしているのですか?

 そう簡単には落ちてあげませんけどね!

 舌を出して、一夜を挑発する。一夜は微笑んでいた。

「なんで?」

 ――ん?

「私がこんなに敵視しているのに、なんで優しくしてくれるの?」

 ――んー、そうね。触りたいからかしら。

「真面目に答えて」

 ――君が好きだから。

「……す……」

 頬が熱を帯びる。照れているのを、ごまかせない……。

 ――そういう反応も含めてね。

 一夜はクスクスと笑っている。手玉に取られているような……。

 ――僕の名前ね、一つの夜って書くでしょう。英語ではワンナイトね。英語にしたら特に意味もなさそうだけど、僕の名前の由来はちょっと特殊。ある夜に男女が出会うの。どちらも一目惚れしてしまってね。僕の両親のこと。そしてその夜に一つになる。僕にもそうなって欲しいと思って、つけてくれたのよ。どう? ロマンチックでしょう?

 一夜は自分の名前の由来を誇らしげに語った。

「へえ……」

 ――まあ、君が嫌いな下ネタに変わりはないけれどね。

「いいよ。それは……。私も好きかな」

 ――そうなの。

「うん。素敵だと思う」

 ――ありがとう、麗香。乙女ね。

「乙女なのは君の方だよ」

 ――ふふっ、そうかしら。

 一夜は心から喜んでいる様子だった。

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