表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にゅにゅにゅ  作者: 社容尊悟
零 零から始まる呪術入門
2/80

冷たい視線




「おはようー」

 挨拶をしながら教室に入ると、何故かみんなの視線が冷たかった。心臓を射抜くように冷たい目。凍えるような空気で、背筋が凍った。私を殺そうとしているかのような目だ。私はなにか、悪いことでもしたのだろうか。嫌われるようなことはしていないはず……だけど。

 おずおずとドアを閉めて、みんなの視線に突き刺されながら真ん中の席に着いた。

 姿勢が悪いと指摘されたことは一度もないのに、今日ばかりは我慢できない。丸っこく縮こまって、みんなの冷ややかな視線から逃れようとする。

 なんで? どうして急に、みんなにそんなに睨まれなくちゃいけないの?

 私、なにかした?

「来たよ、ひまさん」

「ホント、性懲りもなく……」

「よく来るよねえ……」

 ひそひそ話まで聞こえてくる。なんで言われのない悪口を言われなきゃいけないのだろう。

言い返したい。

 でも……何故嫌味を言われているのか、理由がわからない。……なんと言い返せばいいのやら……。私、そんなに口喧嘩得意じゃないし。

 誰かに助けてもらおうとまでは思っていないけど、でも……どうにかしたい。

 意を決し、椅子を引いて立ち上がった。

「わ、私に言いたいことがあるなら……っ、は、はっきり言ってくれないとわからないよ!」

 情けない。声が思いっ切り震えていた。私にしては頑張ったよね。

 くるりと振り返って、ひそひそ話をしていた女子に向き直る。眉間に皺を寄せていた。

「はあ?」

「あんたの存在そのものがムカつく」

「自分が嫌われてるって知りもしないでさ……。よく来れるよね」

 私にそう言った女子たちは見下すような下品な笑い方をする。そんな……、そんなこと今まで気付かなかった。今になってどうして? 深夜もいきなりだったし、今日もいきなり……。

 私は力なく椅子に座って頭を抱えて首を振った。逃げ出したい。この腐った現実から……。

 なんでこんな思いしなくちゃいけないの?

 私がなにをしたって言うの? どうして今まで教えてくれなかったの。私が嫌いなら、私にかかわらないでよ……放っておいてよ……。なんでそんな風に笑うの?

 じわりと涙が滲む。泣いたら負けを認めることになるのに、感情を抑えられない。

 みんなが笑う。周りは敵だらけ。どうしよう。どうしたら……、

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ