体力がついてきた
――そしたら、もっと楽しいこと、いっぱいできるわよ?
「君がしたいだけでしょっ」
――ばれちゃった。
頭にこつんと拳を当ててテヘッと笑ってみせる。女の子らしく笑ったって、無駄だからね!
私は一夜を睨みつけた。狂犬のように唸りつつ。
――すぐに成果は出るわよ。明日の体育、楽しみにしておいてね。
「そうかなあ……。山道一週間走ったからって、そんなすぐに体力つくなんて」
私は訝しげにぼやく。そしたら一夜はニコッと笑って、否定した。
――一週間、みっちり鍛えたのだもの。結果がついてくるはずよ。僕の教え方はうまいのだから。
「はあ……」
その時はあまり信じていなかったものの、家に帰ってから考えてみると、確かに一夜の言う通り体力はついてきた。多分、筋力も前よりはついてきたのではないだろうか。
洗面所の鏡の前で力瘤を作ってみる。うん、ちょっぴりボコッとしている。
そうすると、体重も増えているのでは……。だって、筋肉って脂肪よりも重いんでしょう? いやだなあ、四十キロいったら……。体重計を出してきて、測る。ほっと一安心。
「……よかった。まだ三十キロ台……」
この年頃の女の子は体重の変動が激しくて、凄くデリケート。もし、私の身長で四十キロをいこうものなら、甘い物を制限しなければならない。山を走るよりも地獄だ。
――体力つけるのはいいけど、あんまりムキムキにはならないでね。やる気なくすから。
……デリカシーがない。
「女の子が体重測ってる時に来ちゃダメ!」
何故この人はこうやって……私が来て欲しくない時に限って現れるのだろう。
私は一夜に制裁を加えた。一夜の額が、しゅーと煙を上げる。
――ご褒美くれたっていいじゃない。
「ご褒美? だって、いつもセクハラしてくるし。そんなもんあげないよ」
――ところで今、どんな格好しているか、わかっているのかしら?
デヘーと鼻の下を伸ばして、私をガン見してくる。そんなに見つめて……なにがあるの?
「どんな格好って……」
白いフリルの下着姿でした。
ゼロコンマの速さで、悲鳴を上げた。リビングにいるお母さんに聞こえるぐらいの大声。
「どうかしたの、麗香ー?」
「な、なんでもない! ちょっとジー様が……」




