プロローグ
「可愛い子多いじゃん」
転校初日の定番の挨拶を終え、歌恋の隣の自分の席についた俺は野郎は無視し、女子を見る。
歌恋も可愛い方だがこの学校は美人ばかりだ。
見渡す限り、ブスがいない。
どの子も違った可愛さがある。
「氷室君、甲子園見たよ」
昨日の歌恋とのLINEで歌恋の友達だと知った同クラ朝比奈七海が前の席に座り、笑顔を向けてくる。
「朝比奈はどこ応援してたの?」
俺と同い年の女子が甲子園を見る理由は大体イケメンを応援するためだ。
ーーどうせ、あのいけすかねぇ、太陽を見るためだろ。
「氷室君のこと応援してたの。
あのね、私ね、氷室君のこと好きなの。」
朝比奈の目が輝く。
告白をされたことは何度もあるがこんな直接的なのは初めてだ。
「ありがとう。
朝比奈、部活は?」
ウチの学校は部活が盛ん。
野球部もサッカー部も超強豪だ。
「女子野球部」
ーーおい、歌恋。聞いてねぇぞ。
「歌恋と一緒か。」
「そうそう。ねー、氷室君。
LINE交換しようよ」
朝比奈はスマホを振る。
「いいよ。」
俺もスマホを振る。
「わー、ありがとう。
あ、予鈴鳴っちゃった。
なんかわからないことあったら私に聞いてね」
「あぁ」
予鈴が鳴り響き、朝比奈は自分の席へ戻って行く。
俺は手を振り返す。
「歌恋、このクラスに同じ部活何人いる?」
「5人。
ナナとふーとリンリンとれなれなとスズ。」
全部あだ名で言われたがさっき自己紹介されたから名前は覚えている。
皆良い体格してやがるな。
「楽しめそ?」
「お前もいるからぼちぼちな」
机に顔をつけながら問う歌恋。
俺は笑顔を向けた。
ーーせっかく自由の身になれたことだし、彼女でもつくっかな。